「イグさん、AIに奪われる職種ってなんですか?」
といった類の質問を頂戴することがある。
そらまぁ、いろいろとあるかもしれないけれど、
そこを考えていても建設的じゃあないように思うんだよね。
それよりも、
「今まで、テクノロジーがしてきたこと」
を考えた方が、より良いと思う。
そこを考えていくと、テクノロジーが
「奪って」きたものも、見方によってはある。
が、それは「解放」してきたことでもあったりする。
具体的に見ていこう。
たとえば、蒸気機関車や、車のフォードは
誰から職業を奪ったか?
というと、お馬さんや御者さんから
お仕事を奪ったという見方もできる。
しかし、それは不幸なことだったのか?
というと、一概には言えない。
「私は、生涯を御者として生きたかった!」
という人は、「不幸」だったかもしれない。
が、運転士などに変わったり、
新技術により別のニーズが生まれた方に
適応できたのであれば、あながち不幸とも言えない。
また、洗濯機や炊飯器、掃除機。
あるいは食器洗浄機や自動お風呂などは
家事を圧倒的に楽にしてきた。
それは「専業主婦」という職業を
減らしてきた大きな要因であるかもしれない。
ただ、じゃあそれがダイレクトに
女性全員を不幸にしたとか、
今まで働いていた男性の仕事が全部奪われたか?
というと、そうとも言い切れない。
「私は、専業主婦として生きたかった!」
という女性は、ハードルがあがったかもしれない。
が、別に専業主婦が絶滅したわけでもない。
さらにインターネットは、「情報特権」を奪ったかもしれない。
たとえば、旅行会社の窓口業務とかは減ったし、
新聞などの配達員は減っただろう。
株取引や、中間業者なども様変わりした。
メールやネット経由の通信手段により
コミュニケーションも変容したと言える。
しかし、そこに携わっていた人々全員を
不幸のどん底に陥れたのか?というと、そうは言いきれない。
「私は、証券マンとして取引所で大声を出していたかった!」
という人は、時代の変化に茫然としたかもしれない。
しかし、その人の人生がジ・エンドかというと、そうでもない。
そう。
今まで、たくさんのテクノロジーが生み出され、発展し、
それが一般化してきた。
そのプロセスの中で、たしかに「奪われた」「失った」ものもある。
しかし、「奪った」のと同じか、それよりも
はるかに大きく「解放した」ことだってある。
蒸気機関車やフォードは、
「移動」を大きく解放した。
家電は
「家事」を大きく解放した。
インターネットは
「知識と情報」を大きく解放した。
御者さんは困っただろう。
しかし、道路整備の仕事が生まれた。
新しい流通が、生活を変えた。
氷を売っていた氷屋さんは困っただろう。
しかし、女性の社会進出が促された。
社会に生きる女性のためのサービスも充実した。
一部の中間業者さんは困っただろう。
しかし、情報のスピードが速まった。
労なくして、私たちは日本の裏側の出来事を知れる。
一部の「特権」「自分にしかできないこと」を
変えたくない人たちにとって、テクノロジーは脅威だ。
しかし、より多くの人にとってテクノロジーは
「奪う」ことより「解放すること」をもたらす。
というか、そうでないテクノロジーは歓迎されない。
使われないまま、風化していく。
じゃあ、AIは何を「奪い」、「解放する」のか?
AIが変えるのは、
「クリエイティビティの価値のあり方」だと思う。
今までは、
「作れること」そのものに価値があった。
しかしこれからは、
「何を作るか」「なぜそれを作るか」
の方に重心が移っていく。
なので、
「今まで自分にしかできなかったのに!」
と、しがみつくクリエイターさんたちにとって
AIは脅威だし、脅威だと思った方がいい。
ちなみに、私は「文章を書く」という
もっともAIが強みを発揮しまくる分野のクリエイターだ。
少なくとも、多くの人たちの中で
最も脅威を感じていい場所にいる。
他にも、プログラマーさんとか、
イラストレーターさんとか、
あるいはコールセンターの方とか占い師さんとか、
他にも
「思考のコスト」
「表現の参入障壁」
が自分を守っていた分野の職業は、
まるごと大変だろう。
が、
それ以上に、これは「創造性の解放」でもある。
「問えるけれど、形にはできなかった人」
「イメージはあるけど、スキルがなかった人」
は、軒並み解放される。
ラッキーユー!おめでとう!
そして、これこそが最も大切なのだが、
現在、脅威にさらされている人も、
不幸になるわけじゃない。
それどころか、チャンスしかない。
一生、御者として働くかもしれなかった人。
一生、専業主婦だったかもしれなかった人。
一生、現場の証券マンとして疲弊していたかもしれなかった人。
「それ」が最高の幸せだった人には申し訳ないが、
そうでない生き方を選んで、今までとは違う自分に
気が付いた人も、過去にはいた。
だったら私たちだって、同じことができる。
御者さんは、運転がうまかっただろう。
主婦の目を持っている方は、社会に新しい風を起こしただろう。
現場の証券マンは、ネットを使いこなしたらすごくなったかもしれない。
逆に言うと、もう
「イメージはあるのだけれど、スキルがありません」
「時間がないから、クリエイティブなことは…」
という言い訳は、そろそろできなくなる。
そんな時に、どんな「問い」を自らに出せるか?
というだけで、世の中に必要とされる存在になれる今は
大逆転のチャンスだともいえる。
「奪われるかも…」と心配するより
「もし、私を解放してくれるのだとしたら…?」
と問いを投げかけることに時間を使ったら、
また別の未来が見えてくるのかもしれないね。
あなたの見たい未来は、どんなものですか?
ではでは。
