ちょっと悲しいかもしれない話。
先日、ある人の法事に行ってきた。
一周忌だった。
だいぶご高齢で亡くなられたので、
大往生ではあったのだが
やはり喪失感というのはあるものだ。
でも、
その中で、その方を偲ぶということよりも、
ちょっと悲しい事があった。
というのは、
亡くなられた方の実姉は、まだご健在なのだが、
今回の法事には参加されなかったのね。
てっきり健康上の理由かな？
と思っていたのだが、理由はそれだけではなかった。
実は、亡くなられた方の実姉だから、相当ご高齢なので、
「１年経って、もう妹のことは
完全に忘れてしまった」
ということらしいのだ。
相当仲の良かった姉妹だったので、
妹が亡くなられた時は、誰よりも深く悲しんでいた。
しかし、しばらく時が経つにつれて
（ご高齢ということもあり）どんどん記憶は
かなたへと消え去っていき、今では
「もう、妹という存在がいたということすら
定かではない」
という状態みたいなんだよね。
人はいつか、この世から旅立つ。
それは、いい。
というか、仕方がない。
でも、自分が子供の時から老いていくまで
苦楽を共にした姉妹のことも、忘れて行ってしまうのか、
と、愕然としたんだよね。
よく、
「あなたは、自分の葬儀の時に
どんな人だと言われたいですか？」
「墓石には、どんなことを刻まれたいですか？」
なんてことを考えて、今の自分の活動を振り返ってみる
なんていう思考ゲームがある。
それはそれで素晴らしいと思うんだけれど、
実際の「大往生」の時には、
自分が今までやってきたことも、
大切な人たちのことも、
激しく嫌悪していた人のことも、
命を燃やして情熱を注いだことも、
肉親や、家族も、
今までの思い出のすべてを
全部 忘却のかなたに置き去りにして逝く。
そんな状態になったら、
葬儀の時に何と言われようと、
墓石に何と刻まれようと、
別にそんなことは大した問題じゃないように
思える、というのも、ひとつの側面ではあると思う。
だから。
だから。
そのような考え方のもとに
「生きる」ということを考えると、
自分自身にフォーカスするのであれば、もう
「今を生きる」
ということしか、出てこないような気がする。
いつかは、忘却のかなたにすべてを
置き去りにする。
それは、この世から旅立つ時には
間違いなくそうなるし、
この世に居続けたとしても、
老いとともに、どんどん忘れ去っていく。
だから、私たちは
「たった今」
を、大切に生きて行った方がいいんじゃないかな、
と思うんだよね。
いつかは忘れる。
だからこそ、今を一生懸命生きる。
そんなことがいいのかと思う。
そして、自分以外にフォーカスを当てるのであれば、
もう
「バトンを渡す」
くらいしか、思いつかない。
遅かれ早かれ、自分が生きていたということは
誰も覚えていないという時が来る。
歴史上の偉人たちだって、
いつかは忘れ去られる時が来る。
でも、
忘れ去られたとしても、
生きていたということを、別の形で
次の世代、そのまた次の世代の人たちに
渡すことはできる。
それは、直接的には子孫を残す
ということかもしれない。
でも、そういうことだけじゃなくて、
知識を残すかもしれない。
考え方を残すかもしれない。
技術を残すかもしれない。
また、個人が何か特別なものを
残さなかったのだとしても
ご飯を食べ、眠り、活動する、といった
昔からの営みを、過去から受け取り、未来に渡す
「バトンリレーの走者」には、なるだろう。
普段生活していると、色々なことが起きるし、
その中で、楽しかったり、悲しかったりもする。
でも、本当にシンプルに考えると、
自分フォーカスだと「今を生きる」。
自分以外フォーカスだと「バトンを渡す」。
この２つしか、残らないんだなぁ。
なんて思った次第。
その２つしかないんだから、
あとは、
「どんな今を生きるのか？」
「どんなバトンを渡すのか？」
だけなんだよね。
けっこうシンプルなんだな、と思った次第。
あなたが生きたい今を生き、
あなたが渡したいバトンが渡せますように。
なんか、今日のは、よくわからんな（笑）
ではでは。