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ドングリの少年。

少年は、見知らぬ少女にドングリをあげた。
女の子が持っていた靴下いっぱいに。
 
 
何度も振り返りながら笑顔で走り去る少女を
見送りながら、少年は思った。
「もっと、たくさんの笑顔が見たい」と。
 
 
 
次の年、少年はずっと集めていたドングリを
近所の大勢の子たちにあげた。
 
前から知っている子にも。
ぜんぜん知らない子たちにも。
 
みんな、とびきりの笑顔で、
「次の年は、私も誰かにプレゼントするね!」
と約束し合った。
 
 
 
次の年、次の年、そのまた次の年。。。
「次は、私も誰かを笑顔にしよう」
そんな気持ちが、つながっていった。
 
 
大切な人の笑顔を見たい。
幸せなひと時を贈りたい。
 
 
そんな気持ちを持った人が、大切な人へ。
そしてまたその人が、その人の大切な人へ。
 
 
 
続いてゆく。ずっとずっと。
プレゼントがドングリから変わっても。
時代や街並みが変わっても。
 
 
 
もう誰も、少年のことは知らない。
 
それでも、また今年も、
どこかで誰かが、誰かを笑顔にしている。
 
 
 
「ねぇ。サンタクロースって、本当にいるの?」
 
 
いるさ。
君が想う姿と、少し違うかもしれないけれど。
 
 
メリークリスマス!
 

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