戦え、勝つな、ころすな。
人間関係において、どうしても意見が合わない時とか
衝突をしてしまう事というのは、あると思う。
そんなモヤモヤがある時に、
個人的に最も良いなぁ、と思うスタンスは、
「戦え、勝つな、ころすな」
というスタンスだと思うんだよね。
自分と意見が違うのであったら、
その意見を自分の中に押しとどめるのではなく、
直接、相手に堂々とぶつけるのがいいだろう。
もちろん、ぶつけるタイミングとか
言い方はある。
けれど、
相手と自分の立ち位置や意見の相違があるのなら、
我慢をしたり、泣き寝入りをしたりせずに、
自分の考えを伝えるのが、お互いのためになると思う。
これが、さっきのフレーズの「戦え」の部分だね。
ただし。
その意見のぶつけ合いを「勝負」みたいにとらえて
相手を打ち負かすことを目的にするのは、
あまり好ましいとは言えない。
その一時は、自分の意見が通って
気持ちが良いかもしれないけれど、相手だって人間。
考えが抑えられ、納得できないまま
誰かの意見の通りに動くことは、
感情的に気持ちがいいものではないだろう。
また別の機会に、
「いつか打ち勝ってやる」
と、ダークな復讐心を持たれても、
誰にも良いことはない。
だから、
自分の意見を持って相手と戦うのはよしとしても、
それによって相手に勝つのは、意識して回避した方が
長期的な関係を結べると思うんだけれど、どうだろう？
これが、フレーズの「勝つな」の部分。
さらに。
ましてや、相手をコミュニティから排除したり
相手が二度と意見を言えなくしてしまうことは、
絶対に避けるべきだろう。
ほとんどの場合、相手の意見にも
相手が主張する意味も理由もあるし、
相手の主張にも、正しい側面がある。
それなのに、相手を完膚なきまでやっつけて、
再起不能になるまで「ころし」てしまったら、
多くのマイナス面が起こることは間違いない。
なので、
意見が衝突した時は、できるかぎり
「戦え、勝つな、ころすな」
を意識するといいなぁ、と思う次第。
さて。
さてさて。
実は、今回の話は、ここまでが前提。
本当に話したい話は、ここから始まる。
じゃあ。
あなたの生涯の中で、最も意見がぶつかる、
最大の壁とは、一体誰だろう？
ゲーム風に言えば、
あなたの人生における「ラスボス」的な存在。
それは、
誰にとっても間違いなく
「あなた自身」
「自分自身」
だと思うんだよね。
なにか、自分が成長しようとする。
変化しようとする。
新しいことにチャレンジしようとする。
そんな時は、必ず「過去の自分」「今までの自分」が
反撃を試みようとするだろう。
「現状のままでも、充分じゃないか！？」
「そんなことやるの、面倒くさい」
「こわい」
「誰にも分かってもらえなかったら、どうしよう？」
「もし、失敗したら？」
「はずかしいじゃないか」
「よくなるどころか、かえって悪くなるかも」
そんな「自分の心の中の声」が、
いっせいに騒ぎ出すに違いない。
なぜ分かるか？って？
それは、あなたと同じか、それ以上に
恥ずかしい自分の心の声を聞いてきたからだ（笑）
で。
そんな
「成長・変化したい」
と、
「現状を維持したい」
という自分の葛藤の、はざまにいる時にこそ、
さっきの原則を大切にするといいんじゃないかな？
と思う。
さっきの原則。
「戦え、勝つな、ころすな」
ってやつね。
「現状でいいじゃないか！」
という自分の中の声は、非常に大きい。
なぜならば、過去から現在において、
数年も数十年も蓄積してきた、
あなたの生きざまが、力を合わせて大合唱するのだから。
それに比べて
「変化・成長をしたい」
という声は、非常に歴史も浅く、小さい。
数時間前に思ったか、長くて数日間、数週間程度の
非常に、か細い声だ。
これは、
１人対１００人の「大声コンテスト」みたいなものなんだから、
圧倒的に「現状維持派の自分」の方が、有利に決まっている。
でも、
そこで「戦う」のを辞めてしまったら、
そこで試合終了ですよ？（笑）
いつまで経っても、今の自分からは抜け出せないし、
「生きてる」と言っても、過去の自分をなぞっているだけで
「活きてる」とは言えない状況に陥って行くだろう。
だから、戦う。
もし変化をしたいのであれば、
圧倒的な「過去の自分大軍団」に、
ひとりで立ち向かわなければならない。
しかし。
その大軍勢に、勝つ必要はない。
というか、勝負にしてはいけない。
打ち負かしては、いけない。
あなたを今まで作ってきてくれた習慣は、
それはそれで価値のあるものだ。
その考えがなかったら、
あなたは今まで生きてこれなかったかもしれないし、
少なくとも、今のあなたの状態で、この文章を読んでいる事は
絶対になかった。
だから、「現状維持軍」が、どんなに強大であったとしても、
現状の自分のことを、どんなに好きになれなかったとしても、
「勝ち」を目指してぶつかりあってはいけない。
もしたとえ一時的に「勝ち」をおさめ、
大きく、急激に変化・成長したように見えたとしても、
人間は、そんなに器用に作られていない。
かならず、「過去の自分」からリベンジをくらうか、
抑圧された「過去の自分」が、ねじ曲がった形で
噴出してしまうことだろう。
過去の自分を抑えつけて、「勝ち」を手に入れても、
それは一時的勝利に終わってしまうことだろう。
ましてや。
今までの自分を全否定して、
なかったことにしようとするなんて
とんでもない事だと思う。
そんな風に、今までの自分を「ころして」しまっても、
ただただ空しいだけだ。
自分を演じて、作って、
文字通り「本当の自分を押しころして」生きても、
「結局、幸せってなんだっけ？」
と、呆然と立ち尽くしてしまう日がくるに違いない。
過去の自分をころした先には、
未来の自分をもころすあなたしか、待っていない。
今までの自分と、目指したい新しい自分がいるのならば、
大いに「戦え」ばいい。
でも、今までの自分に勝たなくていいし、
ましてや、ころす必要なんて、全然ない。
過去の自分、今の自分、そして未来の自分。
全員が寄り添って、大いに意見をぶつけ合いながら、
どの自分にとっても最良の選択をする。
自分なんだから、とことん戦えば、
いつかは最大の味方になってくれる。
少年マンガにありがちな展開の、
「とてつもない敵が、戦いを通じて友となる」
というのを、自分の中で起こせばいい。
そして、あらたな強大なものに
また戦いを挑めば良いと思う。
今回話した話は、もちろん
「変化・成長をしたい」
という気持ちが起きた時の話だ。
無理に「変化・成長し続けなければいけない」なんていう
強迫観念を持つ必要はないし、
今の自分に満足するというのも、素晴らしいことだ。
その上で、
もし誰かと、もしくは自分と
意見が衝突した時には、
「戦え、勝つな、ころすな」
という言葉を、思い出してみてもいいかもしれないね。
自戒を込めて。
ではでは。