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聴くように書く。

今回の話は、ライティングとしては基礎的な話。
 
でも、気がついたら、いい具体例があったので、
ちょいちょいネタバレしていきたいと思う。
 
 
さて。
 
読みやすい文章と、
読みにくい文章ってのがあるけれど、
 
その読みやすさを形づくっている
ひとつの手法に
 
「YESセット」
 
というのがある。
 
 
本来は、
 
「いかに読んでくれている人が読みやすくなるかな?」
 
と配慮していくと、自然とYESセット的に書いている
ということなので、テクニックとして使うと、
いささか本末転倒な感じではある。
 
 
ただ、
 
「みんなに読みやすい文章を書きたいな」
 
という方は、ちょっとだけ意識してみるのもアリかな、
ということで参考にしていただけると幸いでごんす。
 
 
 
 
ということで、今回の話の「YESセット」。
 
 
もともとは心理学とか、コールドリーディングとか、
そういった所から命名されたのだけれど、
 
 
簡単に言うと、
 
「相手が ” YES ” と返しやすい言葉を投げかけ、
 心理的な安心感や信頼感を生み出す」
 
というもの。
 
 
たとえば、天気のいい日に
 
「こんにちは、今日はいい天気ですね」
 
なんて声がけをするのもYESセットだ。
 
 
よほどアマノジャクじゃないかぎり
「いい天気ですね」という声かけに、
 
 
「はぁ?あなたの言う ” いい ” とは、どういう定義?」
 
とか、
 
「雨ごいをしている人たちのこと、考えたことある?」
 
みたいには返事はかえってこない。
 
 
相手も普通、
 
「そうですね(YES)、いい天気ですね」
 
と返してくれる。
 
 
 
で。
 
 
この「YESセット」を繰り返していくと、相手は
 
「安全だ」
「理解されている」
 
という心理的なコンフォートを感じるようになる。
 
 
 
そして、このYESセットは、繰り返していくと
はじめは「YES」が通らなかった事柄でも、
「YES」が通りやすくなる、という性質を持っている。
 
 
たとえば、
 
「今日はいい天気ですね」
「はい」
「そろそろ梅雨も明けるのかもしれませんね」
「そうですね」
「梅雨が明けたら、海に行きたくなりますね」
「そうですね」
「海と言えば、やっぱりスイカ割りですね」
「ですねぇ~」
  
みたいな感じ。
 
 
 
これが、初っ端から
 
「こんにちは、海と言えばスイカ割りですね」
 
と話されるのとでは、抵抗感が変わってくるのが
感じてもらえるだろうか?
 
 
いきなりスイカ割りと言われたら、
 
「え?やっぱり海水浴じゃない?」
 
とか
 
「海と言えば、日本海じゃない?」
 
となるかもしれない(ならんか)。
 
 
 
でも、YESセットを使っていくと、
思ったよりも抵抗感が薄れるようになる。
 
 
それが、YESセットの魔法だったりする。
 
 
 
 
で、だ。
 
 
書いている時は全然気にしてなかったんだけれど、
最近私の書いた文章がYESセットになっていたので
それを暴露してしまうことにする(笑)
 
 
全文はこちらなんだけれど、
 

周りを見回すと、活躍している人っているよね?     すごい専門性を発揮している人。   直感の赴くままに自由に動いて みんなを...
 
 
書き始めから少し抜粋すると、
 
 
——————————————-
 
 
周りを見回すと、活躍している人っているよね?
 
 
すごい専門性を発揮している人。
 
直感の赴くままに自由に動いて
みんなを魅了する人。
 
リーダーシップを発揮して
ガンガンとステージアップしていく人。
 
縁の下の力持ちとなり、
絶大な信頼を得ている人。
 
 
活躍の方向性は違えど、
「その人らしさ」が開花した時、
やっぱり人は輝いてゆくように思う。
 
 
 
ところで。
 
 
じゃあ振り返って、
 
「自分の ” らしさ ” って、何だろう?」
 
「自分の ” 活躍 ” って…
 どうなると心から満足できるだろう?」
 
となると、けっこう分かりにくくない?
 
 
(以下略)
 
 
——————————————-
 
 
こちら、YESセットになっているのをご理解いただけるだろうか?
 
 
はじめに
 
 
「周りを見回すと、活躍している人っているよね?」
 
という書き出しをする。
 
 
これを見て
 
「我よりも活躍している輩などおらぬフハハハハ!!」
 
と思う人は少ない。
 
 
ここは、読み手からすると「YES」だ。
 
 
 
そこから、活躍している人のパターンを
いくつか出していく。
 
 
これも「ああ、たしかにそういう人たちもいるな」と、
YESを積み重ねていっている。
 
 
で、
 
「活躍の方向性は違えど、
 その人らしさが開花した時、
 やっぱり人は輝いてゆくように思う。」
 
となり、そのあと、自分の ” らしさ ” を見つけるのって
難しいよね?と続いてゆく。
 
 
 
これが、書き出しから
 
 
「その人らしさが開花した時、
 やっぱり人は輝いていくよね?
 でも自分の ” らしさ ” って分かんないよね?」
 
 
となっていたら、ちょっと強引さを感じない?
 
 
 
少なくとも、YESセットを丁寧にやるよりは、
 
「うーん、そうかもしれないけれど」
「言いたいことは分かるけど、、、」
 
って思う可能性が高くなっちゃうだろう。
 
 
 
 
なぜならば、書き手の持論を
いきなり展開されているので、
 
「寄り添われてない感」
「唐突感」
 
があるわけだ。
 
 
 
なので。
 
 
「あなたはこう思いませんか?」
 
というやさしい問いかけを、まず最初にしてゆく。
 
 
それも、「そう思う」と感じやすいところから、ゆっくりと。
 
そうすることによって、相手はこちらが伝えたいことを
すんなりと受け取ってくれやすくなるわけだ。
 
 
 
 
さてさて。
 
 
文章は、勝手気ままに書いていいと思う。
キーボードを叩けば、いくらでも言葉は紡げる。
 
 
 
その上で、
 
もし誰かに読んでもらいたい、と思うのであれば、
 
「しゃべるように書く」よりも
「聴くように書く」方が、読んでもらいやすいことも多い。
 
 
相手に対して、
 
「あなたはどう?」
 
と聴く姿勢を持ち、そして相手からの「YES」にうなずく。
 
そして、話を続ける。
 
 
文章なので、一方的になってしまうのだけれど、
そこに相手の「間」と「呼吸」を感じながら、言葉を続ける。
 
 
そうすると、文章を通して
相手とのキャッチボールができるようになる。
 
 
 
今回は「YESセット」というテクニック的な話からしたけれど、
実はテクニックなんてどうでもよくて、
 
「相手を想定して、聴くように書く」
 
と、相手は安心してくれるんじゃないかな。という話。
 
 
 
誰だって、独りよがりの話を聞かされるくらいなら、
自分の話をしたいもんね。
 
 
文章の発信者は、相手の話を直接聴けない。
 
けれど、
読み手さんが「そうそう、で、私はね….」と
心の中でおしゃべりを始めてくれるような書き方も、
いいんじゃないかな、なんて思うわけでありんす。
 
 
私も修行中ですが、参考になったら幸いです~
 
 
ではでは。
 

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