いろんな人と話をしていて、
ほぼすべての人に共通するのは、
「今よりもっと幸せになりたい」
「さらに豊かになりたい」
ということだと思う。
これは、別に私の近くにいる人だけではなくて、
人間ならば、誰でも思っている事なんじゃないかな？
なんて思うよね？
ただ、
「そのために、私はお金を稼ぎます」
「だから、私は時間管理を学びます」
みたいになると、
「あれれ？」
と思ってしまう事も多い。
いやね。
その人の言っていることが分からないワケじゃない。
幸せを感じるためには、
ときにお金は強力なツールになるだろうし、
時間管理を学んだりするのも、いいことなのかもしれない。
ただ、お金とか時間管理とか、
「何かを効率的にできるようになるツール」
を、得たいものの最終ゴールにすればするほど、
豊かさからは遠ざかってしまう事も多い。
なぜなら、最終的な「豊かさ」は、
不便さの中にしか宿ることができないからだ。
考えてみると。
私たちが心から「豊かだ」と思う事は、
見方を変えると、面倒がかかることばかりだ。
たとえば、旅行。
わざわざ労力とお金をかけて、
長い時間飛行機の中に閉じ込められて、
ネットで見ればすぐに見られる観光スポットの写真を撮る。
面倒といえば、これほど面倒な事はない。
（いや、ここではあえて言っているんだから、
怒らないでね（笑））
たとえば、恋愛。
どうしようもなく分からない異質な存在に、
自分の持っているすべてのエネルギーを捧げ、
それでも相手にどこまで伝わるか計り知れない。
永遠の徒労と言えなくもない。
（だから、怒るなって。笑）
たとえば、夢の実現。
誰から頼まれたわけでもなく、
お金を稼ぐならもっといい選択があると分かっているのに、
可能性として数％しかないかもしれない未来に人生を捧げる。
人間以外は、こんな愚行は冒さない。
「でも。だからこそ、豊かだ。」
そう思わない？
効率を追い求めるのは、素晴らしい事だと思う。
ただ、それは「最終ゴール」ではなく、
プロセスにおいてだ。
素晴らしい旅行をするために、
効率的にネットで予約するのはスマートだ。
その上で、現地では、あえて普段やらないような体験をするから
そこに「豊かさ」が生まれる。
出会いのきっかけを、誰かに頼むのは否定しない。
でも、どんなに効率的に理想的な異性と出会えたからと言って、
そこから先の男女関係は、自分自身で迷宮を進んで行くことになる。
夢の実現のために、もっとも効果的な方法を模索するのは
むしろ必須のことと言えるかもしれない。
ただ、実はその模索のプロセスこそが夢への歴史になり、
実際に夢を実現した時の喜びを倍加させてくれる。
小さい頃、小さなおもちゃを欲しくて、
お小遣いをコツコツ貯めて買った喜びは、
今、一気に「大人買い」ができてしまうと
感じにくい「豊かさ」だ。
入学式、卒業式、成人式、その他冠婚葬祭。
さまざまな通過儀礼でやることは、
面倒くささのカタマリかもしれない。
また、どんなことをやったのかは、
記憶のかなたに、ほとんど消え去ってしまうだろう。
ただ、あとから振り返った時に
「ああ、確かに私は節目を通過してきた」
と、じんわりと「豊かさ」を思い出させてくれる。
「欲しい」「やりたい」と思った瞬間にそれが実現する。
それはそれで豊かさの一つなのかもしれないけれど、
すべてが効率的になってしまったら、味気ない。
たとえば、
ワンクリックでお金を稼いで、
サプリメントで栄養補給をして、
ネットショッピングで必要なものを買いそろえ、
人間関係は全て断絶する。
それは、「効率」を求めた最終形かもしれないけれど、
そこに「豊かさ」はあるのかな？と私は疑問を覚えちゃう。
ま、考え方は、人それぞれだけれどね。
どんな「効率」をチョイスして、
どんな「面倒くささ」をチョイスするか？
もう、完全に個人の好みだろう。
ただ、「効率」を最終ゴールにしても、
そこに豊かさを感じることはなく、貧しいだけだ。
「効率」を土台にして、その先にある
「面倒くささ」「不便さ」を、じっくりと味わい咀嚼する。
それが、人間が感じることのできる
豊かさの正体なのかもしれないな、
なんて思う次第。
さてさて。
あなたは、どんな「効率」を経由して、
どんな「豊かさ」を味わいたいですか？
直接聞ける時を楽しみにしてます。
ではでは。