「お盆だね」
「お盆だね」
「なんか、怖いよね」
「なにが?」
「ご先祖様が、こぞって帰ってきているんでしょう?」
「そうだね」
「おじいちゃん、おばあちゃん、ひい爺さん婆さん…」
「うんうん」
「江戸時代のご先祖様、戦国時代のご先祖様」
「まぁ、そうなるね」
「鎌倉時代、奈良時代、弥生時代、縄文時代…」
「え?あ、まぁ…」
「ネアンデルタール時代、アウストラロピテクス時代…」
「えっ?えっ?」
「さらにもっと前のご先祖様も、こぞって帰ってきている」
「そうなの…かな?」
「もう、大集合だよね、何億人どころじゃないよね。
ご先祖様同士の意思疎通も大変だよね」
「いや、なんか、いま存命の人から7世代前まで
っていう説もあるよ」
「そうなの?そんなに心が狭いの?
今まで行けてたのに、えーっ!?ってなるじゃん」
「知らんけど…」
「それにしても、一家族につき
500人とか1000人くらいは集まるんでしょう?」
「まぁ、そうなるのかな?」
「なんか、もう群衆だよね、パーリィだよね。
お空がギュウギュウづめで、ほのぼのさはゼロだよね」
「もうちょっと、いい想像できないの?」
「どう考えても、キュウリとナス足りないよね。
やっぱ、お年寄り優先で譲り合うのかな?」
「そうなのかな?」
「ネアンデルタール人は身体能力高いから
きっと私は大丈夫、って遠慮するんだろうね」
「マナーあふれる類人猿だね」
「いずれにしても、ご先祖に想いを馳せるのは、
心が洗われるね」
「今の話からイメージすると、
どちらかというと心がざわめくけどね」
「いいお盆を」
「いいお盆を」