私の友人に、とてもユニークな人間がいる。
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その人を目の前にして
「ユニーク」と紹介されたら、
誰でもまずは、その「いでたち」を見て
なるほど!と思うことだろう。
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蝶ネクタイ。
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あまりお目にかからない丸メガネ。
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そしてトリッキーな髪型。
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そんな風貌だから、
漫才師か奇術師か、はたまた大道芸人かと
自己紹介されるのかと身構える。
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しかし彼はそのどれでもない。
彼は「料理道具屋さん」なのだ。
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浅草の「かっぱ橋商店街」といえば
耳慣れている人も多いだろう。
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キッチン用品、飲食店用品、食器などの
専門店がひしめく商店街だ。
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そのかっぱ橋商店街の一店
「飯田屋」の6代目店主が
彼、飯田結太さん。
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私が先ほど彼を「ユニークだ」と
評したのは、そのいでたちからではない。
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、、、いや、まぁ容貌もユニークなんだけど、
そこだけで彼を判断すると、
非常にもったいない事になる。
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彼がもっともユニークなのは、
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「大切なことを大切にできる」
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という点において、
ずば抜けて非凡すぎる努力家なのだ。
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彼が家業である店を継いだ時、
経営状態は悪化の一途を辿っていた。
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なんとか状況を好転させようと
必死にあの手この手を考える彼。
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売上を上げるために従業員を叱咤し、
商店街内でタブーとされていた
他店の価格調査を実施し、
どこよりも安い店を目指したりもした。
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しかし、やればやるほど
業績は悪化し、従業員も離れてゆく。
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「なんて僕は不幸なんだ」
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「なんで僕だけ、こんなに恵まれないんだ」
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絶望のどん底で途方に暮れる間にも
ますます状態は悪くなってゆく。
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ダメだ。。。もう、ダメだ。。。。
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しかし商売の神様は、
彼を見放さなかった。
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いや、ほんの些細なヒントを
見逃さなかった彼自身が、
見放そうとしていた神様を
連れ戻したのかもしれない。
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いくつかのきっかけから我が身を振り返り、
彼は今までのやり方を一新した。
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扱う道具は料理道具だけ。
過剰在庫オッケー。
従業員さんにノルマは与えない。
従業員さんに裁量権を与える。
値引きは一切しない。
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一見、赤字がさらに膨らみそうな
舵の切り方だが、そこには
彼の理念があった。心があった。
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そう。
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彼が一新したのは、
やり方ではなく、自らの在り方だったのだ。
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ぱっと見ただけでは
とても正攻法と思えないが、
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「大切なお客様、従業員を
本当の意味で大切にする」
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という一貫した姿勢で、
倒産寸前だった飯田屋を
見事に復活させたのだ。
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売上だけでなく、
お客様との、そして大切な
従業員さんとの絆も。
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今、小規模なビジネスをやっている人は
多かれ少なかれ不安を抱いていると思う。
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ビジネスを自分でやっていなかったとしても
個人としてどう生きるのが
自分も、周りの人も幸せにするのだろうか?
と迷うことだってある。
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関わっている仕事が
物販であれ、
飲食であれ、
コンテンツ事業であれ、
クリエイターであれ、
人へのサービスであれ、
スピリチュアルであれ。
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大手と同じ、他社と同じ、
あるいは他の人と似たりよったりの
ことをして、果たしてうまく行くのか?
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そもそも、自分が本当に目指したい生き方だと
胸を張って言えるのだろうか?
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もし、そんな思いが
少しでもあるのならば。
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彼、飯田結太さんの体験したこと、
やり通してきたことに
触れるのも良いかもしれない。
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彼の歩んできた道は、
いわゆるサクセスストーリーではない。
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失敗して、失敗して、
もがいて、もがいて、
なりふり構わず必死に動いた末、
やっとたどり着いた本質の実話。
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ファッション、経営方針。
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「売るな」「ノルマなし」「在庫を過剰に」
「商品回転率は悪くていい」
「定例会議廃止」「朝礼終礼がっつり」
「値引きは恩人にもしない」
「商品はPOPで見えなくなってもいい」
「アルバイトでも300万円の裁量権」
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数え上げたらきりがない、そのトリッキーさ。
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しかし全てに一貫した彼の愛があり、
その愛が伝わったおかげで
お客様や従業員さんに愛され、
きれいごとだけではなく
経営も復活させた力。
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私だったら、彼が体験した厳しい状況に
追い込まれたのであれば、おそらく
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「生き残るためには?」
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とだけ考えてしまうことだろう。
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でも、彼はそこから脱却した。
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「生き残る」ではなく、
「活き、興(おこ)る」。
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お客様が心からの笑顔になるために。
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従業員さんが
「他のどこでもなく、
ここで働きたい」
と命を燃やせるために。
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自分自身が何かに追われるのではなく、
自分の理想を追いかけているという
実感とともに毎日を過ごすために。
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活かし、活き、
そして互いに力を合わせながら
事業を興起させてゆく。
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そんな彼、飯田結太さんの
片鱗に触れられる本が出版された。
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『浅草かっぱ橋商店街
リアル店舗の奇跡』
(プレジデント社)
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読んでみるとわかる。
これは「奇跡」の話でなく
「軌跡」の物語。
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カッコ悪い自分の過去も
すべてさらけ出して綴られた人間物語であり、
ラブレターだ。
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これからを生きる人。
これからを活きたい人。
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すべての方に、強く強くお薦めします。
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結太くん、いつもありがとう。
この本を読んで、ますますファンになったよ。
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