先日、昔からインスピレーションを
受けまくっている友人と再会し、
旧交をあたためていた。
彼は、出会った当初は、
財産らしい財産はほとんど持っていなかったのだが、
今ではメキメキと実力を開花させ、
大きなビジネスプロジェクトを任される
億万長者になっている。
そんな彼に、
「最近は、どんなスタンスで仕事をしているの?」
と聞くと、彼は、いたずらっぽく笑った後
「イグちゃん、船酔いの法則って、知ってる?」
と切り出してきた。
私が
「船酔いの法則??」
と、不思議そうな顔をすると、
「あー、イグちゃんでも知らないんだね。船酔いの法則」
と言って、一呼吸したあと、
「まぁ、知らないよね。
だって、俺が作ったんだもの」
と言って笑った。
「 船酔いの法則 」
それは、彼が自分の
今後の仕事のスタンスを決めかねている時に
考えに考え尽くしてたどり着いた法則だった。
「イグちゃん、船酔いってあるじゃない?
それって、どんな人が、なりやすいと思う?」
彼は私に聞いて来た。
私が答えあぐねていると、彼は、
「船酔いする人は、たいてい下を向いていたり、
船そのものを見ていたりする人なんだ。
近くを見ているから、そこで感じるゆれも大きく、
まどわされ、そして気持ちが悪くなる」
と言い、一呼吸おいてから
「逆に、船酔いをしないで、
いつまでもしっかりとしていられる人は、
遠く、遠く、水平線を見ている。
水平線を見ていれば、たとえどんなに
船自体が揺れていても、気持ちは揺れない。
気持ち悪くなることも、ないんだよね」
と、続けた。
そして、
「だから、俺の仕事のスタンスも、
そうすることにした。
自分の利益にフォーカスするのでもなく、
自分を含めた周りにいる人だけに集中するのでもない。
もっと広く、もっと遠くを見ながら進む。
そうすることによって、
自分の軸がぶれることなく、進むことができる」
と、彼は手にしていたグラスに残ったソーダ水を
一気に飲み干した。
彼の凄いところは、
「視点を高くしていきながら、
現実に仕事で成果をあげている」
というところ。
「視野を広く持とう」
と、口だけで言うのは、誰だってできる。
でも、
実際に多くの人を巻き込むビジネスプロジェクトを
複数、同時に進めながら、
そのどれもに、期待されている以上の成果を
出してゆくという圧倒的プレッシャーの中、
「船酔いの法則」
を、実践しているわけだ。
もう、10歳近く離れている若者に
こんなバケモノがいるんだから、まいっちんぐだよね(笑)
そしてさらに。
彼の船酔いの法則は、そこでは終わらない。
「イグちゃん、“水平線を見る”ってことは
どういう事だと思う?
水平線、ってのは、
“ いつまでも、到達することは、ない ”
よね?
だから、ビジネスや生き方で“水平線”を見るのならば、
自分の生涯だけで描き切れるようなビジョンなら
それは“水平線”じゃないように思えてきているんだ」
「よく、“自分が死ぬまでにしたいこと”みたいなのを
考えるワークってあるけれど、
それがどうも最近、しっくり来なかったんだよね。
だって、毎年毎年1歳ずつ年をとってゆくわけだから
描ける年数は、毎年短くなってゆく。
それが、どうしても、しっくりこなかった。
だから、もう、自分の生涯で描き切れるような夢だけに
フォーカスするのは、やめたんだ」
そんな話を真面目な顔をし終わった直後、
「いや、そうやって仕事してると、うまくいくのよ!
500パーセント、うまくいく!!!!!
500パーーーーーーセントッ!!!!!!」
なんて言って、彼は大笑いをしていた。
いやぁ、本当にすごいなぁ、と思う。
「日々の仕事で成果を出し、
社会的、経済的にうまくいく」
「大きな視野を持つ」
この両輪がある人は、本当に魅力的だ。
仕事ができるだけ、お金が稼げるだけで
何の夢も語れない人は、いつのまにかカネとエゴの奴隷になる。
夢だけでかくて、視野だけ広くて、
実践がともなっていない人は、ホラ吹きに堕すかもしれない。
そうではなく、
両輪のバランスを保ちながら、
大地と宇宙を自由に行き来するように
思考の翼を広げてゆく。
そんな風になりたいものだよね。
私も「船酔い」しないよう、
着実に日々できることをやりつつ、
自分の生涯だけでは描ききれない「絵」を
創っていきたいと思いますわ。
ではでは。