本屋さんに行ったり、
電車の中吊り広告を見てたりすると
「人を操る方法」
とか、
「自分の好きなようにコントロールする」
みたいなのが、最近流行っているみたいだ。
まぁ、そういう願望があるのは全然いいし、
そういう情報が売れるんだろうなー、
みたいにも思う。
、、、が、基本的に、
人を自由にコントロールする方法は、ない。
ってか、あったとしても、
その方法を使ったら、絶対に自分にも相手にも
いいことは起こらないし、
自分には数倍の大きさで
痛い目が返ってくるから、オススメしない。
さて。
最近も、色んな人の相談を受けて
「こういう風にすれば、もっとうまくいくのになー」
とか思うこともあるんだけれど、
相手をコントロールしようとしたり、
「こっちの方が、絶対うまく行くよ!」
「アナタが間違っているよ!」
と強引に話を進めても徒労に終わるので
やろうと思わない。
そんな風に思っていた時、
たまたまランチに行ったお店で、
サザンオールスターズの曲が流れていた。
桑田佳祐さんの、甘くて特徴のある歌声を聞きながら、
「ああ、人をコントロールするって、
桑田佳祐さんをオペラ歌手にするようなものだな」
なんて妄想をしていた。
もし仮に、
「オペラしか聴いたことがなく、
自分が歌うのもオペラ」
の人がいて、
「オペラ以外の歌は、ただのゴミ」
と思っている人が、桑田佳祐さんの生の歌声を聞いたら
どうするだろう?
間違いなく、耳を塞ぎながら
「なんだ!?それは本気で歌っているのか?」
「あなたには、なんのセンスもない」
と言って、自分の歌を聞かせてから
「さぁ、こんな風に歌ってみなさい!!」
と、力任せに桑田佳祐さんの発声そのものも
変えようとするだろう。
このオペラ歌手さんには
悪意があるわけではない。
一生懸命に、自分が生涯をかけて築いて来た信念を
桑田佳祐さんに伝えようとするだろう。
そして、桑田佳祐さんの
「間違い」
「下手さ」
を修正しようとするだろう。
しかし、残念ながら間違っているのは、
桑田佳祐さんではなく、このオペラ歌手さんだ。
桑田佳祐さんは、自分の歌い方で
たくさんのファンを魅了している。
音楽はオペラだけではない、
ということを実証している。
それは、社会的に成功したから
という理由だけではなく、歌い続けているという
ことからもだ。
オペラ歌手さんの「間違い」は、たったひとつ。
このオペラ歌手さんの世界観で、
「歌はオペラだけ」と思っているのは
別に間違いではない。
そうではなくて、
オペラ歌手さんの価値観を
ただ歌っていた桑田佳祐さんに押しつけようとしたのが
唯一の間違いだ。
もし、桑田佳祐さんが
「オペラを歌えるようになりたいんです」
と自分から望んで来たのであれば、
その時には、オペラ歌手さんは自分の価値観を
あますところなく伝えればいい。
そんな風に思う。
そして。
これはどんな人にも当てはまる。
相手が何歳の人であれ、
少なくともご本人の年齢まで生きて来られたのだから、
その時点で、相手の生き方を完全否定できる人はいない。
人は、ある意味、全員
「自分の人生のプロフェッショナル」
なわけである。
人は、ある意味、全員、桑田佳祐さんなのだ。
(なんだ、この表現は。笑)
だから、
当人が
「変わりたいんです」
「もう、今までの自分のやり方を
全部、捨て去ります」
と言ってこない限りは、
アドバイスをすることはできても、
「あなたのやり方は、すべて間違っている」
なんてことは、言えない。
「こういう方法もあるよ」
という提示はできても、
「これしかないよ」
「この方法を覚えないと、地獄行きだよ!」
みたいなことは、ないわけだ。
オペラ歌手さんには、オペラ歌手さんの歌い方があり、
桑田佳祐さんには、桑田佳祐さんの歌い方がある。
あなたには、あなたのやり方があり、
あの人には、あの人のやり方がある。
あなたには、あなたの生き方があり、
あの人には、あの人の生き方がある。
口出しをしていいのは、
相手がそれを望んだ時だけ。
そんな風に思いますわ。
(と言いつつ、いらぬお節介しちゃうんだけれどね。笑)
まぁ、まさか桑田佳祐さんも、
自分の歌を聞かれて、こんな妄想までされるとは
思ってもみないだろうね。
ありがとう、サザン。
ありがとう、桑田佳祐さん。(笑)
ではでは。