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『3人のギャンブラー』

ここに、3人の新米ギャンブラーがいた。
 
 
彼らは、一攫千金を夢見て、
住んでいた片田舎の故郷から
一大カジノ都市へとやってきたのだ。
 
 
 
男たちは、都市の広場にある銅像の前で、
かたく手を握り合った。
 
 
「今から3年後に、ここで再会しよう。
 全員が大金持ちになって、
 みんなで故郷に帰ろう」
 
 
男たちは、再び会えることと、
その時には必ず大金持ちになっていることを誓い合い、
それぞれ街の中に消えて行った。
 
 
 
 
 
1人目の男は、
 
「とにかく、やってみないと分からないな」
 
と、目に止まった1軒のカジノ・バーの扉をくぐった。
 
 
そこでは、様々なギャンブルが行なわれ、
歓喜の声をあげる者、
大負けして、椅子から崩れ落ちそうになる者など、
さまざまなドラマが繰り広げられていた。
 
 
 
男は、空いていたポーカーの椅子に座ると、
とにかくやってみる、というスタンスで
勝負に挑んで行った。
 
 
しかし、なかなか勝つことが出来ない。
 
たまに小額勝つことはできるのだが、
その後は負けが続き、
結局はお金を減らし続けている状態となった。
 
 
男は、
 
「たぶん、ポーカーでは勝てないんだな」
 
と考え始め、
ポーカー以外のギャンブルをやっているテーブルに
移ることにした。
 
 
 
しかし、他のギャンブルでも結果は同じ。
 
何回か負けが続くと、男は
 
 
「どうやら、このギャンブルでも儲けられないらしい」
 
 
と、次々と他のテーブルに移動し、さらに
 
 
「この店では、勝てないようだ」
 
 
と、次々と勝負する店を変えていった。
 
 
「どこかに、勝てるギャンブル、勝てる店はないものか?」
 
と、さまよいながら。
 
 
 
 
 
 
2人目の男は、自分が器用でないことを知っていた。
 
 
なので、勝負する種目は、サイコロに絞ることにした。
 
別にどのギャンブルでもよかったのだが、
なんとなく、男の性に合っているような気がしたのだ。
 
 
男はその次に、実際に儲けるためには、
どのような戦略を持てばいいのか、情報を収集した。
 
 
そこで、自分がコントロールできるのは
どのゲームに参加するか?ということと
いくら賭けるか?ということだけだということを知り、
自分にとって最適な方法を考えてみた。
 
 
結果、勝つ確率は2割程度なのだが、
勝つ時には、負けた分の資金を回収できるほどの金額が儲かり、
トータルでは微増するという方法にたどり着いた。
 
 
そこまでたどり着くと、
男は戦略を練るのをやめ、実際にカジノに赴いた。
 
 
そこで、考えた戦略どおり、
自分がコントロールできることだけに集中し、
勝ち負けを繰り返した。
 
 
派手に勝つと目をつけられると思い、
ひとつの店で大勝ちすることは避け、
目立たず、地味に、誰からも知られることなく
 
ふらりと現れては何回か勝負をし、
いつのまにかいなくなっているという暮らしを繰り返した。
 
 
 
 
 
 
 
 
3人目の男は、慎重だった。
 
 
まず、確実に勝てる方法を手に入れるために、
実際に儲けたと自称する情報屋の話を聞くために
お金を出した。
 
 
そこで話される話は、実際に儲けてきたノウハウや
秘密の方法にあふれていた。
 
 
男は、そのような情報屋の話を聞くたびに
 
「これならば、儲かるかもしれない!」
 
と、心が躍った。
 
 
 
 
しかし、同時に
 
 
「今聞いている話は、
 この情報屋だから、できた方法じゃないのか?」
 
 
という不安と、
 
 
「もしかしたら、
 もっと良い方法があるんじゃないのか?」
 
 
という期待が頭をよぎった。
 
 
 
そこで、
 
「もっと良い情報を知っている男をさがそう」
 
「確実に、間違いなく儲けられる
 ベストな方法を見つけてから、実践するとしよう」
 
と、男は様々な情報屋の情報を買いあさって行った。
 
 
 
情報を買いあされば買いあさるほど、
男は「良い情報」と「悪い情報」の区別がつくようになり、
しだいに
 
 
「この話は、今までに聞いたことのあるような話だな」
 
 
などと、情報の選別さえも出来るようになっていった。
 
 
 
 
しかし、
 
そこまでたくさんの情報を知っても、
自分が確実に儲けられる自信を持つことはできなかった。
 
 
男は、
 
「次に買った情報屋の情報がよかったら、その時行動しよう」
 
と、飲食店でアルバイトをしながら
いつか現れるであろうチャンスを待ち続けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
3年後。
 
 
固く手を握り合った広場の銅像の前で
3人は再会した。
 
 
しかし、彼らが1年前に交わした
もう一つの約束は、果たされていなかった。
 
 
「大金持ちになる」
 
という約束を果たせたのは、たった一人だったのだ。
 
 
3人は再会を喜びあう一晩を飲み明かした後、
別々の道へと消えて行った。
 
 
 
 
 
大金持ちになった男は、
ひとり故郷へ帰る道を歩いて行った。
 
 
 
 
3人の中で、最も実践を重ねた男は
カジノへ向かう道を歩きながら、つぶやいた。
  
 
「アイツは運が良かったんだ。
 実践した数は、俺の方が多かったのに」
 
 
 
 
 
 
3人の中で、最も知識を積み重ねた男は、
また新しい情報屋に会う道を歩きながら、つぶやいた。 
 
「アイツは運が良かったんだ。
 たまたま実践したことが、うまくいっただけだ」
 
 
 
 
広場の銅像は、3年前も、そしてこれからも
変わることなく立ち続けていた。
 
 

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