スポンサーリンク

「肝の据わらせ方って、あるのでしょうか?」

先日、友人から質問をもらった。
 
その友人は、伝統的な和楽器演奏家で、
今現在も、ずっと第一線で活躍をしている人。
 
日本の伝統を守り、日々、自らの腕も磨きながら
後進の指導にも魂をかけている人だ。
 
 
そんなプロフェッショナルが質問してきたのは、
 
「肝の据わった人というのは、子供の時から
 肝が据わっていませんか?
 
 プロ志向の生徒さんで、こりゃモノにならんなぁ、
 という人を、なんとかモノにできないだろうかと
 試行錯誤してきましたが、所詮後付けで
 肝を据えることなんてできないんでしょうか?」
 
というものだった。
 
 
おそらく、彼女が生きている世界は
私が想像する以上にストイックな世界なのだろう。
 
なので、私がどこまで理解をして答えられるかは
分からないんだけれど
心を込めて、こう答える。
 
 
 
まず。
 
正直に言えば、子供のころから
肝が据わっている人というのは、いる。
 
その人の生まれ持った気性だったり、
魂だったりが、あきらかに違うという人はいる。
 
そういう人が、良い師匠、
自分を磨く環境に身を置いたとき、
ものすごい成果を発揮するのは間違いない。
 
 
 
ただし。
 
 
じゃあ、後天的にはどうしようもないのか?
というと、そんなことは全然ない。
 
 
精神的な側面において、
絶対に成功するマインドというのがある。
 
 
それは、
 
 
「退路はなく、希望はある」
 
 
という状態。
 
 
少しかみ砕いて言えば、
 
今いる世界以外には、もう他に選択肢がない、
あるいは、選びたくない、という
 
 
「進むしかない、退路はない」
 
 
という状態。
 
 
そして、
 
このままここで頑張って行けば、
必ず世界が開けると思うことができる
 
 
「未来はある、希望がある」
 
 
という状態であれば、必ず成功する。
 
 
この両方のマインドがあればベストだけれど
片方(退路はない、もしくは希望はある)だけでも
なんとかなる。
 
 
このどちらもない場合は、
何をやっても100%失敗する。
 
 
 
ものすごーく陳腐な例を出せば、
なんで現実世界ではすぐにへこたれるのに、
コンピュータゲームとかでは、コツコツと
レベル上げとかすることができるのか?
 
 
それは、そのゲームの世界では
そのゲームをやり続けている限りは
他に選択肢がないからだし、
 
コツコツやって行けば、絶対に
次のステージに行けることが明白で
確信が持てるからだ。
 
 
 
ここで重要なのは、
 
「退路はない、希望はある」
 
は、完全なる【思い込み】である、ということ。
 
 
実際のところは、退路がない、ということはない。
 
人はどんな風にしても生きていけるし、
 
「ここでしか生きていけない」
 
なんていうことは、ほぼ100%ない。
 
 
しかし、本人の中で
 
「もう、ここしかない。
 これしか選択できないし、したくない」
 
と「思い込む」ことで、退路はふさがり、
ふさがるからこそ、未来への推進力になる。
 
 
 
また、
 
「ここで頑張って行けば、希望がある」
 
というのも、申し訳ないけれど、思い込みだ。
 
 
未来は、どうなるのかなんて、だれにもわからない。
 
ゲームと違って無限に広がる可能性の中で
私たちは、もがくしかない。
 
 
 
でも。
 
 
人は、希望がないと、より大きな未来のために
頑張ることはできない。
 
見えている現実と、見えていない未来ならば
見えている方にしがみつくという誘惑の方が
たいていは勝利する。
 
 
そんな大気圏から「えいやっ!」と出るための
ロケットの燃料は「未来への希望」しかない。
 

そんな風に思う。
 
 
 
そして、
 
「退路がない」
 
「希望がある」
 
というのは、本人一人一人の思い込みなので、
これには個人差がある。
 
 
ちなみに、
 
「今の若い人は、根性がない」
 
「私の若い頃は、、、、」
 
みたいに言う年配の方もいらっしゃるけれど、ちがうね。
 
 
昔の方が
 
 
「退路がない」と、思いやすかっただけ。
 
「希望がある」と、思いやすかっただけ。
 
 
その見事な視野狭窄の思い込みが
心のロケットの爆発的推進力を生んだ。
 
 
それには敬意を表すけれど、
 
「昔の人が強く、若者が弱い」
 
というのは、老人の勘違いなので、
今の若者よ、騙されないで大丈夫だ。
 
 
 
さて。
 
 
質問に立ち返るけれど、
 
「後付けで肝を据えることなんて
 できないんでしょうか?」
 
 
できる。
 
 
たしかに個人差はあるから、
100%ではないかもしれない。
 
 
ただ、指導者としては、
 
 
・ここで頑張ったあかつきに手に入る
 希望ある未来を物語ること
 
・頑張った結果、実際に希望の未来に行ける
 仕組みと道程を作ること
 
 
は、提示した方がいいんじゃないかな?と思う。
 
 
そして、さらにストイックな世界であるのならば、
 
 
・退路はないことを知ってもらうこと
 
 
をやれば、より効果はあるだろう。
 
 
それでも逃げる人はいる。
 
それは、仕方ない。
 
ただ、こちらができる2つのポイント
 
「退路はない」
 
「希望はある」
 
を念頭に愛を持って指導すると、
とても素晴らしい指導者になるんじゃないかな?
と思う。
 
 
 
 
プールでやる「蹴のび」みたいなものだ。
 
蹴る壁がなくても進まない。
 
蹴ろうという意志と、
その間、呼吸ができないことを受け入れないと進まない。
 
 
蹴る壁こそが「退路」。
 
蹴る意思こそが「希望」。
 
 
そんな風に思う。
 
 
 
今回、質問をしてくれた彼女に感謝。
 
あなたは、絶対いい指導者だし、
これからも日本の美しい伝統を担える
素晴らしい人物だよ。
 
 
ではでは。
 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク