以前、酒類メーカーに勤めていた頃。
いろんなイベントで、自社製品を売るために
駆り出されていたことがある。
お祭り、
花火大会、
盆踊り、
海の家、
川下り、
などなど。
そんな中に、警察官が地域振興のために催した
子供向け盆踊り大会があった。
主役は子どもたちなのだが、私は付き添いで来る
大人たちのために、ビールやお酒を売る
「売り子」として参加していたわけだ。
しかし、この盆踊り大会は、
なにかがズレていた。
警察官が主催しているので、
司会進行などがすべて警察官によって行なわれる。
その司会進行が、とてもミスマッチなのだ。
まるで交通違反を取り締まるように、
「そこの君、踊りなさい!」
「全員、盛り上がりなさい!」
と、威嚇されながら、みんなが躍るのだ。
しかも、2時間くらいのイベントの最中、
かかる盆踊りの音楽が、なぜか
「一休さん」
1曲のエンドレスリピート。
いつまでも鳴りやまない
「すっき すっき すっき すっき
すっき~すき あ・い・し・て~る」
…このイベントのあと、一週間は
頭の中で「一休さん」が流れ続けていた。
そして、そんなエンドレス一休さん攻撃の合間に、
「ほら!そこ!踊りなさい!」
「みんな、楽しく!輪を乱さない!」
と、警察官が「司会進行」する。
お客さんもみんな、たぶん途中で
帰りたかったんだろう。
けれど、帰ろうとするとまた
「威嚇」がありそうだったので、
みんな最後まで踊っていた。
「これが最後の曲ですよ!みんな楽しみましょう!」
と言われて、いよいよクライマックスか!?
と思った直後にかかった曲も
やっぱり「一休さん」。
しかし、みんなは「また一休さんか…」と思うよりも
「これで、帰れる…」という気持ちの方が
大きかったであろう。
もちろん、私もだ。
かれこれ15年以上前の体験であるのに、
ここまで鮮明に覚えているほど、
この体験は衝撃的だった。
で、まぁ今回はこの話をシェアしたかっただけ
なんだけれど、あえて教訓を得ようとするならば。
「慣れているアプローチが、
果たしてその時の最善のアプローチなのか?」
ということ。
今回の警察官盆踊りほどではなくても、
私たちは、つい自分がもっとも慣れ親しんでいる
やり方をしたがる。
それはそれで、完全に間違っているわけでもないけれど、
ものにはTPOってものがあることも真実だ。
盛り上げ上手だったとしても、
親せきのお葬式でディスコタイムは
しなくていい。
人の話を聞いて、相手に感動を与えるのが得意でも、
みんなで居酒屋で飲んでいる時に
感動の涙をあふれさせなくてもいい。
楽しさ、静けさ、感動、笑い、
怒り、悲しみ、脱力感、などなど。
せっかくいろんな感情を味わうことが出来るんだから、
それぞれのTPOで、バラエティをもった
対応をできる人間でありたいよね。
自分が得意とする分野にしがみつくのではなく、
自分が苦手な分野にも、飛び込んでみる。
そんな教訓を、あの警察官たちは教えてくれた。
…のかな?(笑)
ではでは。