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未来志向を、別の角度から見てみる

ある年老いた女性の言葉。
 
 
ちまたには
 
「未来に目を向けて、前向きに生きよう!」
 
「将来の可能性は、無限!」
 
というメッセージがあふれている。
 
 
最近では、コンビニに
自己啓発書が売られている状態だ。
 
 
 
別にそれ自体は、悪いことではない。
 
というより、私は毎日毎日飽きもせずに
同じようなメッセージを送り続けているんだから、
私には、何も批判する資格はない。
 
 
でも、そんな私が言うのもなんだが、
たまには、いわゆる「未来志向」とは別の未来について
考えてみるのも、いいかもしれないね。
 
 
 
 
 
 
 
 
最近、私が出会ったお婆さん。
 
 
年齢はすでに80歳なかばを過ぎ、
足腰も弱っている状態のお婆さんだ。
 
その人が先日、本人の生きている日常を、
淡々と説明をしてくれた。
 
 
 
 
その人は、特にネガティブ思考というわけではないのだが、
80歳なかばを過ぎた人の現実が含まれている
日常の話だった。
 
 
 
その老婆は教えてくれる。
 
 
「毎日、身体のどこかしらは不調をきたしている」
 
「昔からの友達は、どんどんと、この世から旅立ち、
 知り合いは減っていく」
 
「新しい友達を作っても、同年代の友達は
 友達になったかと思うと、逝ってしまう」
 
「新しいことに挑戦しようにも、
 身体がついていかない」
 
「今がんばれば、将来楽しいことが起きるかもしれないが、
 その前に自分が逝ってしまう可能性の方が高い」
 
「お金にすごく不自由しているわけでもないが、
 今以上に入ってくるようにするのは、難易度が高い」
 
「家族とのコミュニケーションを改善しようにも、
 家族は私に会おうとはしないし、
 彼らの時間を奪おうとも思わない」
 
 
などなど。
 
 
 
繰り返しになるが、その老婆が
とてつもなくネガティブというわけではない。
 
話している雰囲気も、
 
「ただ、事実をありのまま話している」
 
という感じで、悲壮感は、ない。
 
 
 
 
そんな話を聞いて、
 
「もっと、明るい方に視点を変えましょうよ」
 
と、本人にいうのは簡単かもしれない。
 
 
 
でも、 
 
どう考えても、
 
迫りくる現実の健康問題や、時間の問題で、
今の私がポジティブに考えるよりも
老婆がポジティブに考えるのが困難なのは
話を聞いているだけでわかる。
 
 
事実を並べた時、どうしても未来志向に
なれない状況と言うものは、ある。
 
 
極端な話、あと数時間でこの世を去る人に、
どんな未来志向の話ができるだろうか?
 
 
 
 
 
 
 
でも。
 
 
その老婆は、話の終わりにこう言うんだよね。
 
 
「だから」
 
 
「今の私にとって大切なのは、
 昔からの思い出と、今を生きること。
 
 あんたも、いつかは年老いる時が来る。
 今のうちに、たくさんの思い出を作っておくといいよ」
 
と。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
このバアさん!
ぜんぜん、ネガティブじゃねぇーっ!
 
 
 
 
と、思ったね。
 
 
 
 
私は、「今を生きる」というのを、
ちょっと勘違いしていたのかもしれない。
 
 
「今できることをやって、素敵な未来をつかもう」
 
とか、
 
「今あるものに感謝して、
 過去が間違ったものじゃなかったと感じよう」
 
なんて、そんなことじゃない。
 
 
 
 
「今を生きる」とは、
そのままシンプルに
「今を生きる」ということ。
 
 
未来がどうのとか、過去がどうのとか、
そんなことは関係ない。
 
 
たった今、生きている。
 
その今を、生きる。
 
 
それだけなんだよね。
 
(伝わりにくいかもしれないけれど)
 
 
 
 
 
それに、
 
「未来志向」というのも、別の見方もあるわけだ。
 
 
 
なにも「素敵な」未来をつかまなくてもいい。
 
 
もちろん、素敵な未来の方が、いいに決まっている。
 
でも、素敵な未来になるかどうかは、
自分だけではコントロールできないことだってある。
 
 
 
そうじゃなくて、
 
「いかに思い出になるような行動がとれるか?」
 
ならば、多少はコントロールできる。
 
 
 
 
 
 
 
「未来志向」というと、なにかと
 
「成功しなくちゃいけない」
 
「お金持ちにならなきゃいけない」
 
「注目を浴びなきゃいけない」
 
みたいに、考えてしまう。
 
(もしかしたら、私だけかもしれないけれど)
 
 
 
 
でも、実際は、
 
年老いた時に、たくさんの思い出があれば
それだけで、けっこうな「成功者」なのかもしれない。
 
 
 
大富豪や人気者だった人の隣に
そうではなかった者の墓が立てられる。
 
 
いずれは土に還るわけだから、
本当の意味で
 
「今を生きる」
 
ということを大切にする、
と、考える日があってもいいかもしれないね。
 
 
 
未来の自分に、どんな思い出話を
届けてあげられるだろう?
  
 
ではでは。
 
 

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