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ナナメから『アリとキリギリス』

前回『ウサギとカメ』をナナメから読んだところ、
 
「今度は『アリとキリギリス』で書いて!」
 
というリクエストをいただいたので、ありがたく
書かせてもらいたいと思う。
 
 
さて。
 
いつものように、物語のおさらいね。
 
 
むかしむかしあるところにアリとキリギリスがいて
キリギリスは夏の間歌ってばっかりだったけれど
アリは食べ物をかきあつめていたら
冬になってキリギリスがひもじくなったときに
アリは見捨てましためでたしめでたし
 
 
って話だよね?違う?(笑)
 
 
まぁ、普通の読み方からすると、
 
「将来に対して準備を怠らないようにしましょう」とか、
 
「遊んでばっかりじゃいけません」 
 
っていう教えなんだろうけれど、
この童話に関しては、それほどナナメから読まなくても
違和感を感じる。
(のは、もともと私がひねくれているからだが(笑))
 
 
 
個人的には、
 
「これって、生き方の違いだよね?」
 
と思う。
 
 
一次産業で生涯を過ごすアリ。
 
三次産業に身を捧げたキリギリス。
 
 
どちらも違って、どちらもいい。
そんな風に思う。
 
 
しかもキリギリスがなぜ歌うのか?と言えば、
メスを引き寄せるための「恋の歌」として
歌っているんでしょ?
 
 
それを、自身は子孫を残す役割を持たない
働きアリが、
 
「あんなのダメだよね」
 
と言っているのが、なんかおかしい。
 
 
 
平安貴族たちが短歌をしたため、
自分の想いを伝えようとした。
 
それを現代人が
 
「だから滅んじゃうんだよ、ユー!」
 
とあざわらったところで、何も生まれない。
 
 
 
この「アリとキリギリス」の構図って、
ほとんど毎日みかける構図だ。
 
 
たとえば、以前スポットライトを浴びて
テレビでも引っ張りだこだった有名人が、
その人気にかげりが出てきたとする。
 
本人の名誉のために具体例は出さないが、
浜崎あゆみさんとかかもしれない
(実名出してるじゃん(笑))
 
 
スーパービッグスターだったのが、
勢いが以前と比べれば衰えたように
見えるだけだ。
 
彼女のことはよく知らないけれど、
今でもすごい努力をしているだろうし、
常人ではできないパフォーマンスをすることだろう。
 
 
なのに。
 
そんな人たちの最近の様子を
ネットニュースとか雑誌とかで見て、
 
「ああー、この人も落ちぶれたなー」
 
「残念だよねー」
 
なんて言って笑う一般市民たち。
 
 
それに近いような気がする。
 
 
 
そこで一般の人たちが感じている感情は、
美しいものとは思えない。
 
 
いわゆる
 
他人の不幸は蜜の味、的な感情だし、
 
メシウマ的な感情だし、
 
シャーデンフロイデである。
 
 
そこには、相手に対する優しい気持ちはなく、
 
「やっぱり、平凡でも私が一番」
 
という自己肯定感、優越感を満たす気持ちでしかない。
それでは、ちょっと寂しいと思う。
 
 
しかも、
 
おそらくは、このキリギリスが苦労の末
厳しい冬を超えて、また夏に歌い始めたら、
 
「やっぱり、あのキリギリスは
 他と違うと思っていた」
 
なんて言って、手のひらを返して
拍手喝さいを送ったりするのではないか?
 
一時期人気が落ちたけれど、また復活した
有吉さんとかを、もてはやすように。
 
 
 
他の人が没落していくことに喜びを感じ、
他の人が繁栄していることに嫉妬を感じ、
復活には手のひらを返す。
 
そんな風に反応的になってはいけないな、と思う。
 
 
アリはアリで素晴らしい。
 
キリギリスはキリギリスで素晴らしい。
 
 
他人を基準に自分を評価しない。
 
自分を基準に他人を評価しない。
 
 
他の人からインスピレーションを
受け取るのはいいけれど、人の生き方を評価しない。
 
あくまで、自分が自分の評価をすればいいだけだ。
 
 
そんな風に思うんだよね。
 
 
 
しかも、ちょっと調べたら『アリとキリギリス』って
元々は『アリとセミ』だったらしい。
 
キリギリスじゃなくて、セミだったらしい。
(ヨーロッパ北部にセミがいなかったから、
 分かりやすくするために変更されたとのこと)
 
 
となると、さらにアリの罪は深い。
 
数年間の土の中の生活から這い出てきて、
やっと命を謳歌しているセミ。
 
そんなセミに、訳知り顔で
 
「あんた、冬になったら大変だよ」
 
とさとし、
 
「ほーら。やっぱりアタシの言った通り!」
 
とニンマリするなんて、
小市民にもほどがあるわ!アリよ!
 
(まぁ、アリにはアリの見方があっていいんだけどね)
 
 
 
と、いうことで。
 
 
『アリとキリギリス』が教えてくれるのは、
 
「将来に対して準備を怠らないようにしましょう」
 
「遊んでばっかりじゃいけません」 
 
という事ではない(言い切った!)
 
 
『アリとキリギリス』を通して、
私たちが受け取れること。
 
 
それは、今を頑張っている若者に、わけ知り顔で
 
「まったく、近頃の若い者は・・・」
 
と愚痴を言う、年金をたっぷりもらえる
老人の傲慢さを見抜く目を養うことであり、
 
 
過去光り輝いていたスターたちの現在に
 
「落ちぶれ過ぎワロタwww」
 
「あいつはオワコン」
 
と言った、ひどい言葉をアップする人たちの
醜さを通して、わが身を振り返る事だ。
 
 
 
人は誰しも、その人の世界観で生きている。
 
そして、その世界観を体験しないまま
その人を批判することは、誰にもできないはずだ。
 
 
そんなことを教えてくれる童話『アリとキリギリス』、
本当に素晴らしいと思います(笑)
 
 
ではでは。
 

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