今回は、『人魚姫』。
まずは物語のあらすじを!
6人姉妹の末っ子で生まれた人魚さんが
人間である王子に一目惚れしちゃったから
末っ子っぽい思慮分別のなさを発揮して
声のかわりに足を手に入れてアプローチするんだけど
うまくいかずに泡になって風の精霊に転生しました。
っていうオハナシ。
(風の精霊になる、って知らん人も多いのでは?)
まぁ、普通に読むと、
「悲恋だよね」
「美しい恋の物語だよね」
ってなるのだが、、、
気になるのが、主要な登場人物の全員、
恋に落ちるプロセスが、全部
「顔」
なんだよね。
人魚姫が王子に恋したのは?顔。
後に王子と結婚する姫が
海岸で倒れている王子を助けたのは?たぶん顔。
王子が正体不明の(人間に化けた)人魚姫を
自分のそばに置いたのは?顔。
いや、王子は自分を助けてくれたのは人魚姫じゃなく、
修道院にいた女性(実は姫)だと勘違いをしていて、
「あの娘、よかったなー。
でも僧侶だろうから結婚できねぇなー。
だから、顔が似ているお前にしておくわー」
と、人魚姫をそばに置いている。女心からすると鬼畜。
だが、そんな鬼畜王子に人魚姫が恋したのも、
「王子のお人柄に惹かれて」とか、
「王子が勇敢に戦っているのを見て」とか、
「王子の掲げるマニフェストに心を打たれた」とかではない。
なんなら、船が難破して海に放り出された王子を
一晩中かついでいたの、人魚姫だからな。
どちらか言うと残念エピソードで
出会い方としては、のび太よりも情けない。
なのに恋に落ちた。それはなぜ?
もう、「顔がよかった」か、
ワンチャン「貴族っぽかったから」しか
理由が思いつかない。
まぁ、分かるよ人魚姫。
だって、このまま海の中で結婚するとしたら、
相手、半魚人だもんな?
なんでメスである人魚は美しいのに、
オスはいきなりハンギョドンやねん?
そりゃ、相手が決まる前からマリッジブルーになるわ。
海よりも濃いブルーになるわ。とも少し思う。
(半魚人はいい人だとは思うけどな)
若く、周りからもカワイイ カワイイ言われてきたであろう
人魚姫は、
「私なら、もっと高スペック狙える!」
「てっぺん目指したるわ!」
と思うのも、若気の至りとも言えるだろう。
きっと、人魚姫がもともと人間で
仮に合コンとかマッチングアプリをやったとしたら、
一番最初にプロフィール写真を見て、
次に勤務先と年収を見るタイプだろう。
で、
「運命!」
とか言い出すことだろう。
ルッキズムこじらせメンヘラまっしぐら!!
だって、王子の気持ちとかも考えずに、
いきなり自分の声と引き換えに足を手に入れるのも
まぁまぁだよな。
王子からすれば、まったく覚えていない女子から
「1カ月、寝ないで編みました」
と、手編みのセーターをプレゼントされるより怖い。
だって、足だぜ?足!?
むしろ、声を奪われていたのは良かったかもしれない。
人魚姫のルッキズム・ディスティニー暴走機関車の性格からして、
事情を王子に説明できる状況だったら、
「わたし実は人魚であなたが海でおぼれそうなところを
24時間抱え続けたからその時ラブパッション運命感じて
人魚のアイデンティティである下半身を全部あなたのために
犠牲にして今ここにいるんだイサミィィィーー!!!!!」
と、一瞬も王子から目をそらさずに瞬きもせず、
一気にまくしたてていただろう。
まぁ、鬼畜王子とメンヘラ人魚で、
実のところお似合いだったのかもしれないが。
さて。
と、なるとだよ?
修道院で勉強をしていた姫。
王子の結婚相手、幸せになるのか心配になってくるよな?
彼女も(おそらく)顔で選んだ公算が高いかもしれんが、
一国の姫である身分であるにもかかわらず、
波打ち際で倒れている王子を助けて看病するのは、えらくね?
人魚姫も姫だったから、身分とかはどうでもよかったかもしれんが、
そうなると、ますます「顔」一点集中だったことが濃厚になってしまう。
でだ。
人魚姫を抜きにして考えた場合、王子目線だと
「自分が倒れている時に助けてくれた人が、まさかの隣国の姫!
お見合いとかする気なかったけど、彼女なら全然オッケー!」
だし、お姫様目線だと
「身分を隠して修道院で学んでいた時に助けた人が、
まさか隣国の王子!これは運命なのね」
となる。
そもそも、この二人は人魚姫が茶々を入れなくても
少なくともお見合いはする予定だったし、
結婚する可能性も高かったのだ。
となると、、、、
人魚姫、イタい。
顔で選んだ異形種交流を、
相手の都合も考えずに強行突破しようとして
悲劇のヒロインに酔いしれて精霊転生。
これは、イタい。
まぁ、王子と姫が将来
「ねぇ、パパとママって、どうやって知り合ったのー?」
「ああ、実はパパが浜辺で倒れているところをママがね、、、」
「あらいやですよ。そんな昔の話、子どもたちに話すなんて(照)」
みたいなエピソードを作ってあげた功績にはなるのだろうが。
、、、ってなワケで。
私たちがこの『人魚姫』から学ぶべきことは、
「外見が好みだったからといって、
いきなり運命を感じるのはやめましょう」
「ルッキズムに走りすぎると
自分を見失うから気をつけましょう」
ということなのだろうね。
どんなにラブパッション感じたとしても、
相手との距離は、徐々に近づけていく方が
お互いに幸せだよね。
まぁ魚類だと、止まっちゃうと
しんじゃうのかもしれないけれど。
ではでは。