世の中にあるものには、
とても上品で、洗練されていて、美しいものがある。
逆に、どちらかと言えば低俗で、
不格好で、くだらないものもある。
さて、
じゃあ、これから世の中に認知されていこう、
という場合、
「洗練させてから世に出す」
のと、
「洗練されてない状態で世に出す」
のだったら、どちらが上手くだろう？
もちろん、色々な背景もあるから
一概には言えないんだけれど、
どうやら
「洗練されていない」
ものの方が、良い場合が多いように思える。
好みやプライドなども関係してくるから
なんとも言えない部分もあるんだけれど、
「洗練されていない」
ものの方が、メリットが多い理由も、
いくつかあるんだよね。
まず、
簡単に言うと、洗練されるものを作るには
莫大なコストがかかる。
作る側が、相当洗練されていないと、
そのセンスは生まれないし、
何かを洗練させるためには、
いくつもの失敗を重ねて積み上げるものだから、
相当な覚悟が必要になる。
商品で言えば、莫大な資本力がバックにないと難しいし、
人間だとしても、すでに洗練されているものの中で
磨かれて、そこで認められないと世には出にくいだろう。
さらに、
洗練されているものを世に出すためには、
「ゲリラ」的な方法は、ない。
多くの人が、昔から「正統派」だと思う方法でしか
世に問うことができないため、
「まず、知ってもらう」
ために打てる手段も、めちゃめちゃ限られている。
「多くの人を、びっくりさせてやろう！」
なんていう考え方をし始めた時点で、それは
「洗練」
から、はみだしていってしまう、
という矛盾を抱えてしまっている。
なので、
特に、強力な資金力やバックボーンを持たず、
自分の力を世に試そうと言う場合は、
「洗練させない」
というところから始めるのが、いいようだ。
（まぁ、資金力やバックボーンを持っているところの
仲間に入れてもらい、そこで認めてもらうという
方法もある。
けれど、それにしても、その中では
洗練されていない方法をとることも必要だろう）
考えてみれば、今は「正統派」と言われている
もの、企業、人も、
「洗練されていない」
ところから始まったものは、けっこう多い。
今は「服の定番」となっているユニクロの
初期のＣＭは、
関西弁をしゃべるオバチャマが
店頭で服を脱ぎだすＣＭだった。
（知らない人は、パソコンで
「ユニクロ ＣＭ 初期」と検索すれば
ユーチューブで見ることが出来る）
カレーで日本一のフランチャイズを持つ
ココ壱番屋さんも、
「超大盛りをたいらげたら、無料！」
という、あまり洗練されていない方法で
お客様に認知されていた時代もある。
今では芸術家として活躍している
片岡鶴太郎氏も、昔はアツアツのおでんを食べる芸で
注目を集めていたし、
日本を代表するアーティスト、
「サザンオールスターズ」だって、
はじめて当時の人気歌番組に出た時には
「目立ちたがり屋の芸人です」
と言って、どんちゃん騒ぎの中、
『勝手にシンドバッド』を熱唱した。
どれもこれも、決して
「洗練されている」とは言えないアプローチから
日本を代表する企業・人へとなっていっている。
「洗練されていない」状態から
「洗練されている」ものへの路線変更も、
それはそれで大変なんだろうけれど、
いきなり「洗練」路線を貫こうとすると
いつまで経っても、世に出られない、
ということもあり得るのかもしれないよね。
誰だって、はじめから
「カッコいい」
「オシャレ」
「洗練されている」
と言われたいのが本音だろう。
でも、
どうやら、それはごく限られた人が
はじめから選べるルートで、
通常は、
「低俗から洗練へ」
「ゲリラから正統派へ」
というのが、成功しやすいルートなのかもしれないね。
考えてみれば、私たちを取り囲む大自然だって、
はじめは混沌とした火山爆発から生まれてきている。
火山のように武骨で、エネルギッシュな塊から、
木々が生い茂り、海や大地に数々の生命が生きる
美しい星へ洗練されていった。
同じように、私たちも
武骨で、不格好なエネルギーの塊から始めるのが
どうやら自然なのかもしれないよね。
とは言え、
個人的には、もうそろそろ「洗練された」方向にも
転換しないといけないかなぁ、とも思う今日この頃。
ではでは。