あるところに、ワイさんとエヌさんという人がいました。
二人はそろって料理教室に行き、
シチューを習うことにしました。
—
先生
「こんにちは。二人はお料理を作るの、
初めてなんですね。
じゃあ、私のやる通りに作ってください」
二人
「はーい」
—
先生
「ではまず、手を洗います」
二人
「はーい」
—
先生
「次に、玉ねぎを刻みます」
ワイさん
「はーい」
エヌさん
「これって、本当にシチュー作りに必要なんですか?
もっと別の作り方もあるんじゃないですか?
目の前の事に集中するよりも、もっと先の事を
教えて下さいよ!」
—
先生
「玉ねぎを、弱火でゆっくり炒めます」
ワイさん
「はーい」
エヌさん
「弱火でやるのって、単なる時間稼ぎなんじゃないんですか?
私は強火で、効率よく炒めていきます」
—
先生
「さっきまでスープを取っていた鳥ガラを引き上げます」
ワイさん
「はーい」
エヌさん
「なんでそんなもったいないことをするんですか?
せっかく煮込んだ鳥ガラなのに!?
今までの苦労は、何だったんですか?
私は、鳥ガラを入れたまま作っていきます」
—
先生
「入れる野菜は、角を丸くします」
ワイさん
「はーい」
エヌさん
「角を丸くする時に切った部分がもったいない。
私は、丸くする工程は、省きます」
—
先生
「ホワイトソースを作る時は、少しずつ
水を加えていきましょう」
ワイさん
「はーい」
「なんでそんなに時間稼ぎするんですか!?
私は、一気にやります」
—
料理教室は終了し、
一方の人のシチューは、美味しく完成した。
もう一方の人のシチューは、そうならなかった。
またある時、
ワイさんとエヌさんは、そろってビジネススクールに行き、
ビジネスを学ぶことにしました。
—
先生
「こんにちは。二人はビジネスを学ぶの、
初めてなんですね。
じゃあ、私の教える通りにやってみてください」
二人
「はーい」
—
ビジネススクールでの学びは終了し、
一方の人のビジネスは、うまく進み始めた。
もう一方の人のビジネスは、そうならなかった。
またある時、
ワイさんとエヌさんは、
そろってコミュニケーションを学ぶことにしました。
—
先生
「こんにちは。二人はコミュニケーションを学ぶの、
初めてなんですね。
じゃあ、私が伝える通りにやってみてください」
二人
「はーい」
—
一方の人は、より自分の望む人間関係を手に入れた。
もう一方の人は、そうならなかった。
ではでは。