唐突なタイトルだけれど、
あなたがもしドッグフードを
手売りしなければならなくなったら、どうする?
「は?ドッグフードを手売りなんて、
そんなシチュエーションないですわ!」
と思うかもしれないけれど、
ちょっと考えてみて欲しいんだよね。
どう?
そんなに引っ張る話でもないので
先に進むことにするね。
さて、当たり前の話なんだけれど、
もしドッグフードを手売りすることになったら、
おそらくまず
「犬を飼っている人をみつける」
という回答に行きつくんじゃないかと思う。
そのドッグフードがどんなに素晴らしいもので、
あなたがどんなに凄腕のプレゼン能力を持っていても
犬を飼っていない人にドッグフードを売るのは、
けっこう難しいと思うんだよね。
「なにそんな当たり前の話をしているんだ?」
「イグゼロ、とうとうネタ切れか?」
と心配してくれた人はありがたいけれど、
そうじゃない(笑)
ちゃんと伝えたいことがある。
今日伝えたいこと、それは、
「あなたも、犬を飼っていない人に
ドッグフードを売りつけようと
頑張っていませんか?」
という話。
もう少しかみくだいて説明すると、
たとえば、あなたにとって、
とても感激した商品やサービスがあったとする。
「これがあれば、あの人もきっと
ハッピーになるに違いない!」
「これ、あの人には絶対必要だわ!」
と思い、あなたはその商品・サービスを、
あなたの大好きな人や必要そうな人に勧める。
しかし、十中八九、その純粋な思いは
相手に届かない事が多い。
なぜなら、相手には、あなたが見えている
「足りないもの、改善した方がいいもの」
が見えていないことが多いからだ。
面白い話がある。
今では超人気商品になった
においを取るスプレー「ファブリーズ」。
これ、はじめは全く売れなかったんだってさ。
売れなかった理由は今となっては明白なんだけれど
はじめは全然わからなかった。
「なんでこんないい商品なのに!?」
と、宣伝部は頭を悩ませていた。
宣伝部は、売るターゲットとして、
もっともにおいに困っているであろう
「部屋の中でタバコをする人」や、
「ペットを飼っている人」に向けた宣伝をした。
しかし、全然売れない。
そこで(途中いろいろあるんだけれど)
ターゲットを変えて、
「きれい好きで、掃除が好きな人」に
ターゲットを変えて宣伝をしてみた。
すると、爆発的に売れるようになり、
いまの超人気商品としての地位を確立したらしい。
つまり。
こちらから見ると、タバコやペットのにおいが
部屋中に広がっている人は、
「このファブリーズがあれば
においをとれるのに!」
と思う。
しかし、当人たちは、においに慣れきっていて
別ににおいを消す商品なんて必要としていないのだ。
(もちろん例外はあるけれど、
商品としてヒットした経緯としては、そうなる)
そうではなくて、
「もう、そこまできれいなら、良いんじゃないの?」
「においなって、ほとんどないし」
とこちらが思う人は、「きれい」「無臭」ということに
とても関心があるので、
「もっとにおいを消したい!」
「さらにきれいに、清潔にしたい」
と思い、ファブリーズを求める。
そんな感じみたいなんだよね。
私も実体験として感じる。
私のセミナーのランチタイムには、
本編とは関係ないミニセミナーをやることが多い。
(しゃべりたいだけ(笑))
そこで、いくつかある選択肢の中から
多数決で話す内容を決めるんだけれど、
そこで面白い傾向がある。
たとえば、
「若さを保つ方法」という話を聞きたい人~?
と挙手をうながすと、
「え?もう充分若さを保っているよね?
私の方が、その秘訣を聞きたいくらいだわ!」
と思える人が手を挙げる。
「ビジネス初級編」という話に興味がある人?
と挙手をうながすと、
「おいおい、アンタ複数会社所有してるやん」
という人が手を挙げる。
その他、異性とのコミュニケーションならば
すでにモテモテの人、
感情のコントロール法なら冷静な人と、
「すでにもう、こちらから見ると充分な人」
が、さらなる高みを目指して学習しようとする。
(この前「伝える技術」という
新セミナーをやった時も、もっとも早く反応したのは
ストーリーテラーとして一流の人たちだった)
なので。
何かを勧める時は、こっちから見て、
「これをやればいいのに」
「絶対、良くなるのに」
と思う人ではなくて、
「もう充分だよね」
「むしろ、私が教えて欲しいわ」
という人に勧める方が断然楽だし、
喜ばれることも多い。
それはセールスと言う意味においてもそうだし、
単純にいいものを勧めるという時もそうだ。
推理小説に興味がない人に
面白い推理小説を勧めても無関心だろうし、
ゲームに興味がない人にゲームを勧めても
時間を取ってくれる可能性は低い。
「まずは、必要としている人、
充分足りている人に勧める」
ということを意識してみてもいいのかもしれないね。
とはいえ。
それは難易度の話なので、
「どうしても!この人に!これを勧めたい!!」
「私の大切な人に、どうしても体験してほしい!」
という場合には、全力で勧めるのも
もちろんアリだろう。
あなたのその熱意は、きっと届く時がくると思うので。
ではでは。