「独立」と「起業」は違う。
先日も、前回とは違う友人と飲みながら
色んな事を話していた。
その中で、友人がふと
「独立と起業って、違いますよね」
と、話し始めた。
たしかに言葉として違うのは認識していたけれど、
はっきりと区別して考えたことはなかったので、
友人の言葉の続きを、ワクワクして聞いたんだよね。
友人は、話し始める。
「独立、っていうのは、
今までその人がサラリーマンとしてやってきたことの
延長で出来るんですよ。
たとえば、サラリーマンとして
何かをセールスしていた人が、
そのまま営業として独立するとか。
独立っていうのは、そんなにマインドの変化がなくても
なんとか出来てしまうものなんです」
「でも、起業っていうのは、マインドの変化が必要。
なにしろ“業”を“起こす”んですから。
今までやっていたことの延長以外にも、
たくさんのことを考えないといけない。
むしろ、今までの経験と相反することを
どんどん吸収していかないと、ダメになる
起業っていうのは、自分の苦手なこととか、
自分の見たくない一面とも、正面から向き合わないと
できない、別のステージに行くことだと思います」
友人の話を聞いて、
「なるほどなぁ」
と頷いていると、友人はさらに詳しく説明をしてくれた。
「僕の知り合いでも、自分で会社を立ち上げたり、
フリーランスでやっている人がいるんですが、
うまく行っていない人も、多いんですよね。
それは、本人は“起業”したつもりでも、
自分の得意なこととか、やり慣れたことしかしない
“独立”で、思考が止まっているからなんです。
もちろん、独立というポジションでうまくやる人も
中にはいます。
でも、大抵は“起業”と“独立”を混同させていて、
いつまでも、自分がやり慣れていることに
しがみついている人の方が多いですね」
さて。
意見としては痛烈だが、
マトを得た意見だなぁ、と私は思ったんだけれど、
あなたは、どう思うだろう？
起業をするとなると、
少なくともはじめのうちは、
今まで誰かがやってくれていたことも、しなければならない。
それは、複数の人と組んで起業をしたとしても
変わらない。
（まぁ、よほど大資本で始める場合は
その限りではないかもしれないけれど、
そんなことが出来る人は、そもそも起業マインドが
成熟している人たちに限られる）
人づきあいが苦手であっても、
コミュニケーションをとる必要がある。
経理が苦手であっても、
数字を管理する必要がある。
（誰かに任すにしても、最低限は必要だ）
営業が苦手であっても、
セールスをする必要が出てくるだろう。
何かを判断するのが苦手でも、
判断を迫られることもあるだろう。
よりよい改善を重ねる努力が好きじゃなくても、
改善を重ねる必要があるだろう。
すべてを効率よくやりたくても、
１０コやるうちの７とか８は、
やるだけ無駄だったことになるだろう。
批判にさらされるのが嫌でも、
誰かからの批判を受けることになるだろう。
人を愛するのが面倒くさくても、
仲間やお客様を、心から愛する気持ちがなければ
いつか人は離れていくだろう。
そんな様々なことを経験して、
自分が「今までの延長ではない自分」になるのが
“起業”ということらしい。
「そんな面倒くさいこと、やりたくない」
と思うだろう？
私も、そう思う（笑）
ただ、
「今までの自分の延長で、
会社作っちゃった方が、儲かるわー」
とか、
「やっぱり、会社をもっていると
カッコいいし、自分のプライドも満足させられるから
作っちゃおう」
といった軽い考え方で会社を作り、
「はい、起業しましたー！」
なんていう気になっていると、
あとで、とんでもなく、ひでー目にあうので
気をつけた方がいいみたいだよ。というお話。
「自分の得意な事だけやって、独立する」
というのであれば、
「独立」に向けて準備して、
準備が整ってから、やればいい。
そうではなくて、
「今の自分じゃない自分と向き合うかもしれないけれど
起業しよう！」
というのであれば、
その覚悟だけもって、業を起こせばいい。
別に、どっちが偉いとか
そういう話じゃない。
ただ、混同して考えていると、
手痛いダメージをくらうので、
気をつけた方がいいよね、という話。
いわゆる
「まぜるな、危険」
というだけだ（笑）
起業したつもりが、
いつの間にか昔の自分にしがみついて
「独立」になっていて、それが苦しいのであれば、
「独立」に完全に焦点を定めて
自分がやらないと決めたことを
誰かにゆだねるか。
それとも、また気持ちを新たにして、
今の自分を完全否定することになるかもしれない
「起業」という未開拓地に、足を踏み入れるか？
もし、あなたのまわりに
「起業したのに、うまくいかない」
と言う人がいたら、やさしくアドバイスをしてあげてね、
そして、
こんなことを偉そうに書いている私自身に
アドバイスしてくれる人、募集です（笑）
ではでは。