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実践!一般化と個別化。

むかしむかし、私がまだ学生だったころ。
 
当時(今もだけれど)仲の良かった男友達がいて、
その男は、とある女性に恋をしていた。
 
 
「Aちゃん、かわいい」
 
「ホント、Aちゃんって美しいわ」
 
「Aちゃん、やさしいんだよね」
 
「Aちゃんのことを思うと、夜も眠れない」
 
「Aちゃんのこと、もっと知りたいわー」
 
 
そんな学生時代のほのかな恋を、
学生食堂とかで話してくれていたんだけれど、
 
やっぱさ、学生食堂とか教室で話していると、
誰が聞いているか、わからないじゃない?
 
まだ恋愛のステップもなにもかも
分からなかった当時、私も男友達も
 
「話したいけど、バレるのは嫌」
 
みたいな、そんな感情を抱いていた。
(青いのぉ(笑))
 
 
で、
 
ある時、私が提案したのは、
 
「Aちゃんに、俺たちだけが分かる
 あだ名をつけよう!」
 
というもの。
 
 
男友達がAちゃんの事を話したくなったら、
そのあだ名で呼ぶ。
 
それは、私にはAちゃんだと分かるんだけれど、
他の人には分からない。
 
そんなあだ名を提案した。
 
 
 
そのあだ名とは、
 
 
「人間」。
 
 
 
それから、男友達はAちゃんのことを話す時、
こんな感じで言うようになった。
 
 
「人間とは、かわいい」
 
「ホント、人間は美しいわ」
 
「人間とは、やさしいものだ」
 
「人間のことを思うと、夜も眠れない」
 
「人間のこと、もっと知りたいわー」
 
 
単なるデレデレ話が、いきなり高尚な
哲学になった瞬間である(笑)
 
(まぁ、結局「これだと感情がこもりにくいわ!」
 ということで、数日でボツになったんだけれどね)
 
 
 
でね。
 
この経験から、「一般化」の
おそるべきパワーに気がついたんだよね。
(私が変わり者なのは、学生時代であっても同じだ(笑))
 
 
一般化、というのは、対象をくくるカテゴリーを
数段階抽象化すること。
 
たとえば、一般化の言葉としてよく使われるのは
 
「男性」「女性」
 
「若者」「その世代」
 
「日本人」「外国人」
 
「人類」「生物」
 
みたいな感じ?
 
さっきの「Aちゃん」を「人間」としたみたいな
使い方だね。
 
 
他にも、誰か特定の人にされたことを
 
「男って、しょせんそんなものよ」
 
みたいに使うのも、一般化の典型例だろうね。
 
 
この一般化は、使いどころをうまく見極めると、
ものすごいパワーを生んでくれる。
 
逆に、使い方を間違えると、
とんでもない残念なことも発生する。
 
 
一般化のパワーは、基本「遠ざかる」力。
なので、
 
 
・感情が動から静になる。
 
・客観性が増す。
 
・行動の意味が薄まる。
 
 
といった効果を生む。
 
 
 
そしてもうひとつ、逆のエネルギーとして
「個別化」という力がある。
 
これは一般化の逆で、どんどんひとつの対象に
ズームインしていくという方法。
 
 
具体的には
 
 
「あなたは」「~~~さんは」
 
「あの時の行為そのものは」
 
「この件に関して」
 
 
みたいな使い方かな?
 
もちろん、人類すべてを語っていた時に
あえて「それは日本人の特性だね」みたいにした時も
個別化側にシフトしていくケースだろうね。
 
 

個別化はさっきと逆で「近づく」力。
なので、
 
 
・感情が静から動になる。
 
・主観性、個人性が増す。
 
・行動の意味が強まる。
 
 
といったような効果を生む。
 
 
 
で。
 
 
この「一般化」「個別化」を、意識して使い分けると、
特に人間関係において、さまざまなプラス効果を生む。
 
 
基本的には、ネガティブなことや痛みを伴う事で、
相手を傷つける必要がない時には
「一般化」を用いる。
 
 
たとえば、仕事をしているメンバーの中の一人が
大きなミスをしたとしよう。
 
その時に、相手を責めるのは簡単だけれど、
感情的に責めても、何も生産的でない。
 
 
そんな時は、
 
「あなたが失敗した」「~~さんが失敗した」
 
じゃなくて、
 
「私たちが失敗した」
 
とすればいい。
 
 
一般化の力で、
冷静に起きたことに対処できるし
客観的に再発を防げるし、
起きた事の意味を別次元に昇華することができる。
 
 
また、異性に傷つけられた人をなぐさめるにも
 
「男って、そんなものよ」
 
「女性って、そういうところあるよなー」
 
と言う方が効果が高い時も多いし、
 
 
美味しくない料理を食べた時にも
 
「観光地って、残念な時もあるよね」
 
とか言っておけばいい。
 
 
 
逆に。
 
 
もっと感情を感じたい時は、
一般化するともったいない。
 
スーパー個別化した方が、絶対気持ちいい。
 
 
あなただって、自分の誕生日の時には
あなただけに
 
「~~さん、おめでとう!!!」
 
って言われるのが気持ちいいでしょ?
 
そんなタイミングで
 
「人類って、おめでたいものだよね」
 
とか言われても
「ええええーーーっ!!?」
ってなる(笑)
 
 
誰かが仕事で功績をあげた時、
子供をほめる時、
パートナーに感謝を告げる時、
 
相手との距離を縮め、感情を味わい、
したことの意味を強めたい時は、
 
「~~~さん、すごい!」
 
「~~~ちゃん、よくやったね!」
 
「あなた、いつもありがとう」
 
と、意識して言葉を選んだほうが
お互いにハッピーになる。
 
 
パソコンの不調を直してくれた時に
 
「やっぱり、システムエンジニアはいいね」
 
と言われるより、
 
「~~~さん、ホントにパソコンに詳しいね!」
 
とお礼を言われる方が嬉しい。
 
 
また、自分の恋人やパートナーが
優しくしてくれた時に
 
「ああ、やっぱりこういう時
 女性は(男性は)やさしいね」
 
と言われるよりも、きちんと個人名で
感謝された方が、嬉しいに決まっている。
 
 
 
さてさて。
 
 
一般化、個別化。
 
意識し過ぎるとイヤミになるかもしれないけれど、
これが自然に、サラリと使い分けられると
お互いに気持ちのいい関係が築きやすくなる。
 
ちょっとだけ意識してみても、
いいかもしれないね。
 
 
 
あと、
 
この、一般化と個別化を知ると、
相手の本音を知れたりもする。
 
一般化の言葉を多用する人は、
基本、一般化を「かくれみの」にしている。
 
 
どんな意見も、一般化すると
冷静で客観的な意見 に聞こえて、
さも頭が良いようにも振る舞える。
 
でも、どんな意見でも
本人が思っていない限りは、
その人の口から出てこない。
 
 
なので、一般化の言葉を誰かから聞いた時に
 
「それは、人類とか日本人とか
 男性とか若者とか置いておいて、
 “あなた”がそういう風にとらえているんだよね?」
 
と見ておくと、その人の本当のパーソナリティが
透けて見えてきたりする。
 
 
一般化は、非常に簡単で、
そこからの思考をしなくても良くなると言う側面もある。
 
「最近の若者って、そうだよね」
 
という言葉は、
 
「私は、あなた個人の事を、これ以上見る気がない」
 
というメッセージにもなり得る。
 
 
そんな風に見ていくと、
どんどんハラグロ長者への道に近づいていきます。
 
ほどほどにね!(笑)
 
 
ではでは。
 

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