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序盤の人生

私にとって、「こうなれたらいいな」という
憧憬の念を抱き続けていた方が逝去された。
 
藤村俊二さん。
 
振付師であり、俳優、声優でもある方。
 
もともと振付師志望だったのだが、
番組中にエキストラ出演を頼まれることも多く、
画面に映るのが嫌でその場から「ひょい」と逃げていたところ、
「おヒョイさん」のあだ名がついたという。
 
 
この方に実際にお会いしたことはないんだけれど、
生き方がカッコいいな、とずっと憧れている。
 
 
軽妙なキャラクターで、かといって軽すぎず、
なくてはならない存在感があるけれど、
誰かを差し置いて目立とうとしない。
 
とぼけたキャラも、知的な紳士も演じることができ、
声優としても、氏ならではの情景を描ける。
 
 
「こんな人に、将来なれたらいいな」
と、ぼんやりと思っていた方。
 
 
その訃報をネットで知り、
あらためて、藤村さんの軌跡を見てみた。
 
 
「藤村さんが、私と同じような年齢の時は、
 一体、どんなことをやっていたのだろう?」
 
 
と、ネットを検索して、軽い衝撃を受けた。
 
 
 
藤村さんが、今の私と同じくらいの年齢で
やっていた役は、
堺正章氏や夏目雅子さんが大活躍をしていた
 
『西遊記2』
 
というテレビドラマ。
(ご存知の方は、年齢的に仲間だ)
 
 
役柄としては、
びっくりすると人間の姿になってしまう
 
「馬」
 
の役。(その馬は、龍の化身らしいのだが)
 
 
 
「馬」ですか。
 
私と同じくらいの年齢の時、
とぼけた「馬」役ですか!!?
 
 
衝撃。
 
まさにショック。
 
 
でも、そのショックは、非常に心地のいいものだった。
 
 
「ああ、人生って、本当に長いんだな」。
 
 
と思える、やさしい衝撃。
 
 
 
 
なんとなく、心のどこかで
 
 
「まぁ、私もある程度の年齢になってきたし、
 あとはこの延長になるのかな?」
 
 
みたいに思うことも、なくはなかった。
 
 
 
でも、藤村さんの俳優人生を見ると
西遊記2の馬の役は、まだ序盤も序盤と言える。
 
 
「以前のトレードマークは、アフロヘアーだった」
 
なんて言っても、知らない人だって多いだろう。
 
 
知的な老紳士、おしゃれな白髪。
 
そんなイメージの方が強いようにも思う。
 
 
 
さて。
 
 
人間は、どんな年齢になっても変わることができる。
 
もちろん、今を否定する必要はないけれど、
30代からでも、40代からでも、50代からでも、
それよりも、もっと高い年齢であっても、
 
「この先の人生は、今の延長」
 
なんて、自分で決めなくていい。
 
 
 
すぐに、急に「まったく別の人格」になることはできない。
 
藤村さんご自身が、俳優や芸能人という
フィールドで歩み続けたように、
今までの過去を、まったくなかったものにして
明日から別の人生を歩く、なんてことはできない。
 
 
けれど、
今から歩く自分の道は、まだまだたくさんの選択肢がある。
 
過去をなかったことにすることはできないけれど、
明日から歩くフィールドを変える、という選択肢だって
あるだろう。
 
そして、自分の足で歩いてゆく限り、
新しい自分に出会うチャンスは、いくらでもある。
 
 
 
 
人の評価なんて、いつのまにか変わる。
 
自分から変わればいい。
 
 
藤村さんご自身が、
どれだけ自分の人生を愛したのかは
本人にしかわからない。
 
 
しかし、その歩みは、間違いなく、
少なくとも私には、可能性を示唆してくれている。
 
 
カッコ良く、美しく在れるよう、生きたいと思いますわ。
 
人生、まだまだ序盤なんだから。
 
 
藤村さん、ありがとうございます。
安らかにお眠りください。
 
 
 
ではでは。

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