たまに書かせてもらっている
「有名な昔話をナナメから見てみよう!」
シリーズ。
今回の昔話は『北風と太陽』。
みんな知っている素敵なお話だよね!
いつもの通り、かるくあらすじをおさらいしてみよう!
むかしむかしあるところに北風と太陽がいて
力比べしようとしたら都合よく旅人が通りかかったので
服脱がせ競争をすることになったんだけれど
北風がピューと吹いてもコートを脱がせられなかったんだけれど
太陽がサンサン照ったらコートを脱ぎました。
めでたしめでたし。
なんてシンプルなお話なんでしょう!ビバ!
さて、このお話は、
「なんでも無理やりに進めようとするのではなく、
相手がその気になるようなアプローチが大切だよ」
みたいな教訓に使われることが多いけれど、
いや、ちょ、待てよ!(キムタク風に)。
なんか、いつの間にか北風さんドキュンなダメ男で、
太陽さんイケメンみたいな扱われ方になっているけれど
それって、おかしいよね?
だって、そもそも
「旅人、コート脱ぎたくなかったよね?」
って、なんで誰もツッコまないの?
たまたま通りかかった旅人からしてみれば、
完全にとばっちりというか、ハタ迷惑というか、
災難以外のなにものでもない。
それなのに、なんで太陽さん
「ふふん、コートはこうやって脱がすものさ。
北風さん、エレガントさに欠けるよ」
みたいに上から目線になってて、北風さんも北風さんで
「ぐぬぬ、太陽さんには負けたよ」
みたいな友情物語に発展しているのさ?
おかしいやん?深イイ話じゃないやん?
旅人さん、北風にあおられたあと、
コートを脱ぎだすほどの太陽にさらされるって、
風邪ひきますやん?
旅、続けられなくなりますやん?
もしこれが、妹の結婚式に出るために
親友がとらわれているような
『走れメロス』的シチュエーションだったら、
責任とれますのん?
と、小一時間ほど北風さんと太陽さんに
説教をしたくなるよね?普通?
でも、こういうシチュエーションって
現実世界でも、けっこうありそうだ。
自分の力を誰かに認めさせるために
全く関係のない第三者を巻き込む。
小さいころだったら、
「どっちがアリの巣をうまく壊せるか?」
とかを友だち同士で競ったり、
(アリからすれば、完全に天災レベル)
大人になったら、どっちがモテるかを
数で競ったり、
(恋愛を数のゲームにしてはいけません)
仕事の営業成績で、
ライバルに負けないためだけに
お客様に押し売りをしたり、
(お客様が喜ぶならいいんだけれどね)
どちらが強い国かを誇示するために
小さな国同士で代理戦争させたり、
(人類史上サイテーのとばっちりだわ)
まぁ、ホント色々あるように思う。
別に西洋のことを悪く言うつもりもないんだけれど、
色んな昔話をナナメから見ていると、
けっこう西洋の昔話って、一方的正義の話が
多いような気もする
前に扱った『ブレーメンの音楽隊』なんかも
強盗団から家を奪ってヒャッハー!ってなるし、
『ジャックと豆の木』も、
勝手に巨人の住み家に入って略奪するし、
もう、ドラゴンクエストで勝手に民家に押し入って
小さなメダルを探す勇者レベルで、悪党ぞろい。
せめて北風と太陽のエンディングで、
「力比べに協力してくれた旅人に感謝の気持ちをこめて、
そのあと北風さんと太陽さんは
旅路をずっと見守ってあげました」
くらいになると、かなりハートウォーミングな話に
まとまるのに、もう旅人さんをそっちのけで、
「太陽、お前もやるな」
「いや北風、お前もなかなかだったよ」
と、ケンカをしたあと、夕焼け空を見上げながら
河原の土手で寝ころぶ二人みたいなエンディングを
むかえてるのさ?
そんな気分にひたる前に、やることあるだろ?
と思うのは、私だけだろうか?
(たぶんそうだ)
まぁ、私自身、若気の至りで
自分の力を誇示したい時もあっただろうし、
今もあると思う。
ただ今回、あらためて『北風と太陽』を
読み直して、
「ああ、第三者を巻き込んだ時は、
その相手もハッピーになるように
アフターフォローしないとな」
「相手にきちんと許可をもらってから
いろいろアプローチするように注意しないとな」
と思った次第。
もしかしたら北風さんも太陽さんも、
こんな感想を持つ私を見ながら、
「俺らみたいな、ダメなオトナになるなよ!」
と、ウインクしながら親指をグッと
サムズアップしているかもしれない。
いやぁ、反面教師って大切ですよね。
私自身、気をつけたいと思います。
ではでは。