先日、
「イグさん、組織の運営について
相談があるんですけれど。。。。」
と、友人から連絡があったのね。
え?組織運営?
そりゃ、たしかに以前は「組織」と呼べるチームの
運営とかもしていたけれど、
何も、今の私に相談しなくてもいいんじゃない?
、、、とも思ったんだけれど、
相手が私を指名してくれたんだから、
そこは誠意をもって応えたい。
ってなわけで。
相談者さんは、十数名程度のチームのリーダーで、
これから長期間にわたるイベントを盛り上げようと
がんばっている人だ。
相談者さんとしては、
「よーっし!
イベントに来てくれた人に楽しんでもらうために
いっちょ、やったるぞー!!」
と気合いが入っている状態なんだけれど、
チームのメンバーには、そうとうの温度差があるみたいだった。
相談者さんと同じように
「よーしっ!
がんばるぞー!」
という人も、中にはいるんだけれど、そうではなくて、
「私は、仕事の合間にちょっと
自分が楽しめればいいなー、って思って」
という人もいれば
「とにかく、イベントであがる売上げをもらって、
なるべく自分は楽したいんです」
と公言する人まで、さまざまな状態らしい。
そこで、
「どうやったら、
このチーム全員をまとめられるでしょう?」
という相談がやってきた、というわけ。
その相談を聞いて、私自身がアドバイスしたのは、
「全員をまとめようとするのは、早めにやめた方が良い」
というものだった。
もちろん、そんなアドバイスをしたのは意味があるんだけれど
その話をする前に、ちょっと話が変わるけれど、
マーケティング業界では有名な話をしたいと思う。
さて。
マーケティングでは、
「お客さまを、一人に絞れ!」
というのが、定説だ。
売る側としては、たくさんのお客様に買ってもらいたいから、
「老若男女、どんな状況にある人にでも
オススメの商品があります」
と言いたいところなんだけれど、
そんな風に言うと、今は商品は一つも売れない。
商品の選択肢が少なかった昔ならばいざ知らず、
今はどこを振りむいても商品があふれている時代。
そんなところで、
「どんな人にもオススメ!」
と言われると、お客様は
「あ、別に私に向けた商品じゃないのね」
とそっぽを向いてしまう。
なので、売上げを上げるためには、たとえば
「35歳の男性で、
いつもスーツを着ていて、
電車に乗ることが多い人のための
制汗スプレーです」
とか、
「そろそろ40歳。
ひとりで今までがんばってきた自分の肌へ
ごほうびのスキンケアクリーム」
みたいに言った方が、商品は売れる。
「これは、自分のための商品だ」
そう思ってもらえることが、
商品販売の基本、というわけ。
でね。
ここで、この基本の話をしたのは
もちろん意味がある。
それは、
「お客さまを一人にしぼりこむように、
仲間も一人に絞り込んだ方が良い」
ということ。
あ、もちろん、この「一人」っていうのは、
お客様と同じように、比喩ね。
大きな組織であれば、
さまざまな考え方を持った人が集まった方が
幅が広がるかもしれない。
でも、小規模の、それもスタート期に
チーム構成員のさまざまなニーズに応えるのは
なかなか難しいと思う。
チームのメンバーそれぞれが、
違う技術やノウハウを持っていることは、大切。
考え方やプロセスも、多少違ってもいいだろう。
ただ、方向性という意味においては、
「一枚岩」
になってないと、どんなチームも機能しない。
たとえば初期のソニーで、
「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき
自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」
と、井深大氏が言っているのに、
「いや、私は給料さえもらえればいいので、
自由とかじゃなくて、指示もらえますか?」
とか、
「最高度の技術者の技能とかじゃなくていいんで、
とりあえず、手を抜けるところは抜きましょうよ」
みたいに言っている人がいたら、足なみが狂う。
また、どちらが良い、という話ではないんだけれど、
ウィンブルドンを目指すテニスの選手育成機関と、
コンパとテニスが半々のサークルとでは、
「どちらのニーズにも応えます」
というのは、相当ハードルが高い。
(そういう意味で、チーム運営として相当難しいのは
マンションの管理組合とか、PTAとかは
非常に難しいだろうなー、と思う)
自分がチームを作る際に一番大事なのは、
「どんな人が集まるところにするのか?」
という事だと思う。
「どんな人でもカモーン!」
というのは、
「どんな人にもオススメ商品です」
と言っているのと同じになってしまう。
だから。
「あなたのための商品です」
というのと同じように、
「あなたがこんな人ならば、
ここは、あなたの場所です」
と、提示することは、むしろ親切になるだろう。
「もう、組織が出来あがっちゃっているから難しいな」
「だって、そうしたら、離れて行く人がいるじゃないですか」
など、いろんな意見があるとは思う。
特に、すでに売上げなどが発生している会社組織の場合は
非常に難しい面も多いだろう。
ただ、
小規模のチームが機能するためには、
「ウチは、こういうチームです」
と打ち出さない限り、双方が不幸になる。
遅かれ早かれ、やめて行く人がいるだろう。
でも、それは実はみんなにとって幸せな事だ。
現実には、そう簡単ではない、というのも、
実際にチームを運営してたし、今も多少は運営もあるから
理解しているつもり。
でも、
「仲間は、一人」。
これを意識した方が、少なくとも始めはうまく行くと思う。
いろんな考え方があるだろうけれど、
個人的には、そう考えています。
あなたの所属しているチーム、
あなたが運営しているチームは、どんな形になっていますか?
ではでは。