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ナナメから『さるかに合戦』を読んでみる

今回は、ナナメ読みシリーズで
 
『さるかに合戦』
 
を書いてみたいと思う。
 
 
 
 
 
今回も、今さらながらのあらすじを
書いていこう。
 
…と思って、確認のためにネットで調べてみたら、
本来の話って、けっこう残酷なのね。
 
 
ということで、あらすじ。
 
むかしむかしあるところにサルとカニがいて、
サルがカニから柿のタネをエサにおにぎりをだまし取って、
カニが柿を植えたところ、サルが木に登って
柿を食べながら青柿をカニにぶつけたところ、
ショックでカニが死んじゃって、
その子供たちが、栗、臼、蜂、フンに手伝ってもらって
サルを殺害しました。めでたしめでたし。
 
  
という話。
 
 
てっきり、いじわるされたカニ自身が、
サルをこらしめて反省させる話だと思っていたら、
物語の当事者は、2名とも亡くなっていたと判明した。
 
こわいねー。
 
 
 
 
 
と、さて。
 
 
 
 
この昔話から、私たちは
どんな成功法則を学べるだろうか?
 
 
  
 
サルは、浅知恵で
 
「おにぎりの代わりに柿のタネ」
 
「登って柿を取る代わりに
 自分も柿を食べて良い権利」
 
を取引している。
 
 
 
 
実は、この取引自体が、
カニの満足のいくものではなかっただけで、
契約としては成り立っていることに注目してほしい。
 
 
 
 
サルの失敗原因は、単に
 
「お客様に満足感を提供できなかった」
 
「プレゼン能力が、救いようがないほど低い」
 
というだけにすぎない。
 
 
 
 
サルにもっと優れたプレゼン能力があったら、
「柿の種」に、ものすごい価値を感じてもらい、
カニに感謝されながら柿を育ててもらえただろう。
 
 
 
さらに、ちゃんと熟した柿を提供したら
 
「柿の種を、たかがおにぎり一つで提供してくれただけでなく、
 柿の実を取ってくれるアフターフォローサービスまで
 ついているなんて!サル!ステキすぎる!」
 
と、カニに感動されながら
自分もおいしい柿を食べることが出来た。
 
 
 
 
 
 
プレゼンが下手な、サルのアホ。
 
 
 
 
 
 
サルについては、このひと言に集約される。
 
 
 
 
 
 
 
 
では、カニ一族はどうだろう?
 
 
このカニ一族、
 
物語上では、とても善良な書かれ方をしているけれど、
深く読んでみると、そんな「いいカニ」じゃないような
読み方も出来る。
 
 
 
 
 
そもそも、自分が納得して取引契約を締結したのに、
自分が思っていたようなものじゃなかったからって、
子供がかたき討ちに走るような育て方をしているのは
 
「モンスタークレーマー」
 
「モンスターペアレンツ」
 
と言ってもいい存在だろう。
 
 
 
また、カニ自身の行ないは素晴らしく善良か?
 
と言うと、まったくそんなことはない。
 
 
 
柿を育てる時に歌っている
 
 
「早く芽をだせ柿の種、出さなきゃハサミでちょん切るぞ♪」
 
 
って、完全におどし、恫喝だよね?

 
 
 
カニは柿に、水くらいしかあげていないのに
歌いながら柿をおどして成長を急がせるなんて、
サル以上に邪悪だと思うんだけれど、どうだろう?
 
 
 
「柿は、果物だから」
 
「植物だから、もののはずみで言ったんだよ」
 
と言う言い訳は通じない。
 
 
 
何しろ、物語の後半で力を借りるメンバーに
 
「栗」
 
とか
 
「臼」
 
とか
 
「フン」
 
が人格を持って出て来るんだから、
「柿」だってキャラクターとして生きている
と考える方が自然だ。
 
 
 
 
しかし、
 
 
そんな凶悪なカニ親とカニ子供は
最終的に勝利をおさめる。
 
 
それは、なぜか?
 
 
 
それは、完全に
 
 
「プレゼン能力の優秀さ」
 
 
としか考えられない。
 
 
 
 

 
 
カニは、自分とは全く異なる存在である
栗、臼、蜂、フンに
 
 
「サルがいかに悪い存在であるか」
 
「あなたたちが、かたき討ちに参加する意義」
 
「私たちが成し遂げられること」
 
「サルがいなくなった世界の素晴らしさ」
 
 
をプレゼンし、協力を得ることに成功している。
 
 
 
 
しかも、サル以上に極悪なことに、
完全無償で、協力させている!
 
 
柿のタネひとつぶたりとも、支払っていない。
 
 
 
かたき討ちを成就したあと、
カニがメンバーになにか報酬やお礼を出した
と言う話は、まったくない。
 
 
完全に無償で、こきつかっているのだ。
 
 
 
 
すげぇ!
 
カニ、すげぇ!!!
 
 
 
 
 
「自分とは異なる能力を持ったものたちを集め」
 
「異なる能力をもったものたち同士を協力させ」
 
「ひとつの目的に向けて」
 
「完全無償で奉仕させる」
 
 
この卓越したプレゼン能力、
もしくはリーダーシップがあったからこそ、
カニ一族は成功をおさめている。
 
 
 
現代のリアル社会でも、
 
「ちょっと深く考えると、理不尽だよね?」
 
と思うようなことでも、なんとなく
まかり通っていることが、たくさんある。
 
 
 
それは、異なる考え方をひとつにまとめる
プレゼン能力がある人が
陰で暗躍しているんだろうね。
 
 
 
 
 
物語は、
 
「サルは殺害されました。めでたしめでたし」
 
で終わっている。
 
 
 
 
けれど、もしこのサルの子供たちが
 
「取引契約をちゃんとしていた父ちゃんが
 モンスタークレーマーの子供に亡きものにされた!」
 
と更なる、かたき討ちに向かったら、どうなるだろう?
 
 
 
 
…いや、たぶん親のプレゼン能力から類推すると

サルの子供たちが、どんなに頑張っても、 
誰からの協力も得られないか、
得られたとしても、途中でチームが分裂して
かたき討ちは成就しないであろう。
 
 
 
やはり、この世は、一枚上手なものたちに、
有利に動くようにできているのかもしれないね。
 
 
 
一枚上手な、モンスタークレーマー、
 
カニのような人たちが、オイシイところを
持っていくのかもしれないね。
 
 
ああ、我ながら、ひでぇオチ(笑)
 
 
でも、強力なプレゼン能力は、
全てをまきこみ、ひっくり返す力があると思うよ。
  
ではでは。
 

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