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ナナメから『こぶとり爺さん』

ちょっと久しぶりの「ナナメから童話」シリーズ。
 
(最近読み始めた方には、なじみがないと思いますが
 昔話や童話を、ヒネクレた視点で読んでみる
 という、ふざけたシリーズです)
 
 
今回とりあげるのは、『こぶとり爺さん』。
 
みんなは知っていると思うけれど、
あらすじをおさらいしておこう!
 
 
むかしむかしあるところにコブのある無欲な爺さんがいて
鬼の宴会にでくわしたところで踊ったらコブを取られて
隣に住む強欲コブじいさんが真似したらコブをつけられました、
めでたしめでたし。
 
 
って話だよな?え?略しすぎ?(笑)
 
 
 
でね。
 
 
この話は普通は
 
「無欲な人が得をして、欲張りだと結局損をします。
 だから、無欲に生きましょうね」
 
みたいな物語だと言われているけれど、個人的には
 
「え?そう?」
 
みたいに思ってしまう。
(だって、私はナナメな人だから(笑))
 
 
 
だって、そもそも、鬼がコブを取ったのは
 
「また明日もここで踊ってもらうために
 お前のコブを預かっておく」
 
と言って、コブを取ったんだよね?
 
 
コブを取られたのは、たまたま鬼が
お爺さんのコブを
 
「大切なもの」
 
だと勘違いしたから取っただけで、
無欲なお爺さんが素晴らしかったから
コブを取ってあげたわけじゃない。
 
 
なので、無欲なお爺さんは
 
「たまたま勘違いされて、
 運が良かった」
 
ってだけの話だ。
 
 
 
そもそも、無欲なお爺さんが本当に善人ならば、
鬼との約束を守って、踊りに行くはずだ。
 
なのに、自分の都合がいいようになったら、
鬼との約束は完全にブッチぎって、
清々としているなんて、人が悪すぎる。
 
たとえるなら、
 
「また明日、デートしてくれる?」
 
「ああ、もちろんだよ」
 
「じゃあ、約束のしるしに、
 あなたの腕時計を預かっておくわ。
 愛してる」
 
なんてやり取りをした後に、
 
「あー、よかったわー。
 あの腕時計、ちょうど処分しようと
 思ってたところなんだよなー。
 
 むしろラッキー?みたいな?」
 
なんて言いながら、
女の子とのデートの約束をほっぽらかす
チャラ男と、何も変わらない。
 
なんてひどい男なんでしょう!
無欲なお爺さん!
 
 
 
そして、もっとも気になるのは、
無欲なお爺さんと、強欲爺さんは、
 
「お隣さん」
 
という点だ。
 
 
無欲な人が得をして、
強欲な人が損をする。
 
これが本当の原理原則ならば、
なんで老人になっている現時点で
二人は同じような生活水準なの?
 
おかしくね?
 
 
仮に、二人のお爺さんが
一方は生涯ずっと無欲に暮らしていて、
もう一方は強欲に生きてきたとしよう。
 
そして、
 
「無欲は得。強欲は損」
 
というのならば、
すでに老人となっている二人の生活環境は、
まるで違っていなければ、話がおかしい。
 
 
これは別に経済的な話にとどまらない。
 
無欲のお爺さんも、
特に友達が多いとかいう描写はないし、
 
無欲のお爺さんが家族に愛されていたら、
鬼の宴会に出くわすほど
遅くまで働いたりしないだろう。
 
 
 
たしかに、一方は無欲、
そして、もう一方は強欲。
 
これは間違いないのだろう。
 
でも、現時点で同じような
経済環境、生活水準、健康状態、人間関係である。
 
 
たまたま鬼の勘違いでコブが取れたけれど、
それは無欲な爺さんの生涯のうちに
一度だけ訪れたラッキーなことだったに過ぎない。
 
 
だいたいからして、
老い先短い無欲な爺さんが
 
「コブが取れた!ラッキー!
 
なんて喜んでいる時点で、
 
「いや、もうちょっと内面的なことに
 目を向けようよ、いい年なんだから」
 
なんて思ってしまうのは、私だけだろうか?(笑)
 
 
 
対して。
 
強欲爺さんは、たしかに今回は
 
「コブを取ってもらう」
 
というミッション(?)には失敗した。
 
でも、彼の生き方全部を否定するほどの失敗だろうか?
 
 
もしかしたら、無欲な爺さんは
生まれた時から今まで、ずっと同じような
生活環境だったのかもしれない。
 
 
でも、こちらの強欲爺さんは、
若いころはブイブイ言わせてて
ぜいたくの限りをつくしてたかもしれない。
 
ところが、ある時バブルが崩壊して、
泣く泣く今の生活になったのかもしれない。
 
どっちが「死ぬ時にいい人生だった」と思うのか?
というのは、本人の価値観しだいだから何も言わない。
 
けれど二人の人生を考えてみた時に
「どっちかは、絶対にイヤだ!」
なんていう、明らかな落差は、ないような気がする。
 
 
なので、個人的には
 
「無欲に生きても、強欲に生きても、
 それは人それぞれだよね。
 
 この話は、たまたま、
 無欲な人がラッキーだった時に
 フォーカスを当てているだけだよね」
 
と思ってしまう。
 
 
今のマスコミが、ある特定部分だけフォーカスして
我々に発信しているのと
本質的には何も変わらないように思える。
 
 
 
それが証拠に。
 
この物語の中で、もっとも強欲なのは?
と問えば、あきらかに「強欲爺さん」ではない。
 
 
そう。
 
 
 
鬼。
 
 
 
鬼の方が、よっぽど強欲じゃね?
 
 
自分の力に任せて、夜な夜な宴会して、
たまたま宴会の場に紛れ込んでしまった
社会的弱者であるお爺さんに、踊りを強要する。
 
そして(勘違いだったものの)
 
「明日もココに来いや!
 コブは預かっておくぜ!」
 
と、弱いものを自分の欲望のために、こき使う。
 
 
まさに、鬼!
 
血も涙もない!!
 
 
この鬼に会ったら、力の限り叫びたい。
 
 
「この、鬼野郎!!!」
 
と。
 
 
(まぁ、本人たちは
 「はぁ、そうですけど何か?」
 って感じだろうけれど)
 
 
 
なので、
 
強欲なのが損、なんていうのは
原理原則なのかは、ちょっとわからない。
 
もしかしたら強欲は損かもしれないけれど
それは仮説の域を出ない。
 
なので、私としては
この『こぶとり爺さん』を読んだ後は、
 
 
「ああ、人は好きに生きていいんだな」
 
 
なんてことを学んじゃう次第。
 
 
 
ああ。
 
・・・なんで私は、こんなナナメな人間に
なっちゃったんだろう?
 
と反省もするけれど、
こんな人が一人くらいいてもいいよね(笑)?
 
 
ではでは。
 

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