今までいろんなことを学んできたんだけれど、
その中でも、セールスの学びは
本当に人生を変えてくれた。
セールスの学びが実現してくれることは
果てしなく広い。
モノを売ることからはじまり、
自分自身をプロデュースする、
人と人をつなげる。
ストーリーを構築する。
世界観を人に理解してもらう。
大げさにいえば、自分の人生を変え、
大切な人の人生に影響を与えることのできる
素晴らしいパワーだ。
「セールス」と言うと、
「ああ、なんかうまいこと言って
欲しくもない商品を買わせる技術でしょ?」
と思っている人もいるかもしれないし、
実際にそういった狭い範囲でセールスを使う人も
決して少なくはないだろう。
しかし、
もっと広い意味で活用すれば、
「自分が価値あると思っているものを
他の人にお勧めする行為」は、全部セールスだ。
そして、「自分が価値あると思っているもの」の
最たるものは、他ならぬ自分自身だ。
なので、セールスを学ぶことにより
多くの人に自分の良いところ(も、悪いところも)
知ってもらうことが出来る。
そのパワーは、計り知ることが出来ない。
さてさて。
今回はそんなセールスのお話。
セールスの技法は様々あって、
それぞれが一長一短を持っている。
どんなものを売るかによって使い分けられるし、
売る人の性格、キャラクター、ブランディング
なんかも関係してくるだろう。
そんな前提の中で、
「鉄板」とも言えるセールス方法のひとつを
お伝えしようと思う。
では、本題に入る前に、ひとつ質問。
「スターウォーズに出てくる
ジェダイ騎士(暗黒側も含む)の中で、
最強のセールスは誰でしょう?」
「はぁ?
ジェダイ騎士、セールスしないし!
“今ならライトセーバー
金利手数料負担!”
とか、言われたくないし!」
と思うかもしれない。そりゃそうだ(笑)
あくまで、たとえ話ね。たとえ話。
ものを売る、紹介するという時、
「どの立ち位置」にいるのが、最も効果的か?
という話で、つまり、
「スターウォーズという物語の中で
どの立ち位置にいるジェダイ騎士が
セールスとしてふさわしいか?」
という話だ。
1人1人を見ていくことにしよう。
まず、ダース・ヴェーダー。
あの世界の中では、最強に近い
強いフォースを持っている1人だろう。
しかし(少なくとも物語の序盤では)、
「悪の代表」であり
「圧倒的に強い力を持つもの」である。
でも、お客様にものを売る時に、
「私ははじめから強い存在でした」
「圧倒的な力をもっています」
とアピールしても、共感されない。
「はじめから強い力を持っている存在」は、
どちらかというと、
「悪」
の存在として認識されやすい。
(現実世界でも、すべてそうだ。
善悪で捉えられない話でも、「強者」というだけで
「悪」のレッテルが貼られることは多い)
なので、
「私のような強い力をあなたも持てるようになる」
みたいにセールスをしても、
それほどは共感されることはない。
どちらかというと、
「倒すべき既存勢力」
という立ち位置になってしまうからだ。
そう言う意味では、暗黒側の
「皇帝」や「ダース・モール」も
立ち位置としてはアウト、と言える。
では、ルーク・スカイウォーカーはどうだろう?
主人公だ。
はじめは弱い、しかしどんどん頼れる存在になってゆく。
カッコいい。
でも、セールスという意味においては、
ものをお勧めする立場の人が主人公になってはいけない。
主人公は、あくまでお客様だ。
お客様は、なにかで現状を変えたいと思っている。
それは
「お金を稼ぎたい」かもしれないし、
「ダイエットしたい」かもしれないし、
「恋人が欲しい」かもしれないし、
「写真がうまくなりたい」かもしれないし、
いろいろだ。
それがどうやってもうまくいかない。
しかし、あることをきっかけに
どんどんと自分の思い描いた未来を手にする
サクセス・ストーリーを歩くことになる。
このサクセス・ストーリーの道は
お客さんが歩く道で、セールスが歩く道じゃない。
これは、どんな商品でも同じだ。
「料理がうまくできない」
という主人公(=お客様)が、
「じゃがいも皮むき器」
を手にすることで、どんどんと料理上手になってゆく。
そんな主人公になってもらうのが、
セールスの役割だ。
お客様から、主人公の役割を奪ってはいけない。
なので、ルークの立ち位置も
セールスとしては失格と言えるだろう。
では。
オビ・ワン・ケノービはどうだろう?
圧倒的な力を持つ存在ではない。
主人公でもない。
しかし、
主人公に新しい世界を提示し、
主人公と一緒に世界を共有し、
圧倒的な存在に立ち向かう術を伝え、
主人公が欲しいと願うことを心から応援し、
主人公が成長したら離れ、あとは見守る。
これが、セールスと言う意味においては
「鉄板」の立ち位置だと思うんだよね。
主人公(=お客様)に、
「あなたには、もっと素晴らしい能力がある」
「もっと広い世界で活躍できる」
と伝え、
「あなたが現状なのは、あなたのせいではない。
あなたがその能力に気づいていないか、
あなたの能力を阻害している“悪”がいるからだ」
と励まし、新しい世界にいざなう。
このような立ち位置を取ることに成功すると、
セールスは非常にうまくいくことが多い。
バランスが難しいんだけれど、ヨーダみたいに
「もう、世界を変えるのに
自分は働かないよ」
というのではなく、最前線で主人公と一緒に頑張る、
というオビ・ワン・ケノービこそが
最高の立ち位置といえるだろう。
現実世界で、うまく行った例で言うと、
ヴァージングループの創業者のリチャードブランソン氏。
彼は、既存の業界に殴り込みをかけて、
自分の事業を拡大して行くのに長けている。
音楽業界に入って行った時は
「今の音楽業界は腐っている。
あなたたちが聞きたい、本当の音楽を提供していない。
私は、あなたたちが聞きたい音楽を提供したい」
と、お客様に訴えかけた。
航空業界に行った時も、
「圧倒的に強い既存の航空会社たち。
彼らはあなたたちの利益よりも、
自分たちの保身を考えている。
もっと素晴らしい空の旅ができるのに、
それを出来なくさせているのだ!」
と、既存の強大な力を持つ業界に喧嘩を売り、
お客様との間に
「既存勢力と私たち(=お客様&ブランソン)」
という構図を作った。
結果として、主人公となったお客様は
「ヴァージングループ」という
新しい世界に飛び込んで行った、という感じだ。
小泉純一郎さんも、うまいよね。
「郵政民営化、反対するのは“悪”」
「既得権益に守られている奴らが
あなたの利益を阻害している」
「自民党(=強大な権力)を、ぶっ壊せ!」
とリードした。
本当は、あんたも自民党やん。
と思うんだけれど、その時は
「自民党」という言葉は、党名ではなく
「権力の象徴」という立ち位置にさせてしまったのが
非常にうまい。
一見、リチャードブランソン氏や小泉さんが
主人公に見えるけれど、
「主人公はお客様」
「主人公は有権者」
という立ち位置を崩さなかったのが
彼らの成功の秘訣とも言えるだろう。
そういう意味では、キング牧師もガンジーなんかも
同じ立ち位置を取っている。
すでに強い力を持っているものを
「倒すべき存在」として、
いま、そうではない人たちに
「本当の姿」「あるべき姿」を提供する。
ユニクロも、ソフトバンクも、楽天も、
「既存業界に新しい風を吹き込むのに
あなたの力が必要だ」
というキーワードで、
お客様を獲得して行った。
もちろん、他の方法もあるし、
わざわざ「悪」「敵」を作らなくても
共感してもらうことは出来ると言えば出来る。
ただ、ひとつの方法として覚えておくのも
良いかもしれないね。
ものをお勧めする時、
お客様の信頼を勝ちとりたくて、つい
「凄いところ」
「強いところ」
を強調してしまう。
しかし、それをやり過ぎると、
ダース・ヴェーダーの立ち位置になってしまう。
自分のことをアピールするつもりで、
ついついお客様から主人公の座を奪ってしまう
「ナルシストセールス」にもなってしまいがちだ。
もし、あなたが何かをお勧めする時には
ダース・ヴェーダーでもなく、
ルーク・スカイウォーカーでもなく、
オビ・ワン・ケノービを目指すと良いかもしれないね。
私も頑張りたいと思いますわ。
ではでは。