「今日も、か、、、うんざりだ」
憂鬱な気分になりながら、男は犯人の足跡をたどる。
天気は雨。
都会の夜の闇に、しとしとと降り続ける雨が
体から体温を奪ってゆく。
色恋ざたの事件など、毎日のように起こっている。
今回の事件も、今、降り注いでいる雨のように
あまたあるうちのひとつでしかなく、
未解決の事件も、まだ山のように残っている。
張り込み、尾行。。。。
手を代え品を代えて、道行く人々へ聞き込みをし、
つてを探ってゆく。
今日も、これといって手がかりはつかめなかった。
魔界となる都会の夜。
コートの裾を通る風も、
男にとっては慣れたものになっていた。
「もう、秋か、、、、」
雨に濡れたベンチに貼りついた
紅葉の葉に一瞥をくれると、男は、
いつ終わるとも知れない追跡劇に
ため息をつきながら、街に消えていった。
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原作 童謡『もみじ』
ああ、気の憂う日、似てる事件(やま)も未路。
恋も、雨水も、数ある中に。
待つ、追い、路 通る、代え手や便は、
夜魔の風も、都の裾模様。