先日、ちょっと久しぶりに
お金がらみの相談に乗ってきた。
「こんな金融商品を勧められているんですが、
どう思います?」
みたいな内容だ。
見ると、一つはFX(外国為替証拠金取引)の
自動売買システム。
もう一つは、とある国への海外預金だった。
その相談者の方は、もともと非常に賢い人で
人間的にも優しい人柄の方だ。
ただ、金融商品については門外漢なので
一応、私に聞きに来てくれた、って感じ。
「で、この商品なんですけれど。。。」
と、相談内容である金融商品の説明が書いてある
パンフレットを手渡してくれた。
それぞれの金融商品のパンフレットには、
その商品がどれだけ魅力的なのかが
ところ狭しと書かれている。
「理論上は100%儲かります」
「日本に預金しているより、これだけお得!」
みたいな感じ。
そして、月ごとに、
どれだけ資産が増えてゆくのかを表にして、
「シミュレーション上は、
なんとこんなに儲かります」
という、勢いのある数字がバシバシ書いてあったんだよね。
うーむ。
正直、金融商品のパンフレットだけでは
その商品が本当に良いものなのか、詐欺商品なのかは分からない。
だって、真っ当な商品であれ、詐欺商品であれ、
パンフレットには、精一杯いいところをアピールするように
書かれているものだからね。
だから、パンフレットなんて、基本あんまり見なくていい。
こんな時にチェックするのはパンフレットじゃなくて、
・この商品を売っている販売者や情報提供者は、
どうやって利益を得ているのか?
・なぜ、この商品の情報が自分のところに
届いているのか?
・想定できる最悪の事態はどんなものなのか?
・他の投資家は、どう動いているのか?
といったポイント。
なぜか?と言えば。
よほど仲の良い、金銭的余裕のある友達から
お勧めを受けたのでない限り、誰かが
「純粋な好意」で商品を勧めて来ることは、ありえない。
その人が良い人なのか、騙そうとしているのかとは別の次元で
勧めてきた人には、何らかのメリットがあるのが普通だ。
あなたがもし確実にお金が手に入る情報を手に入れたとしたら、
あなたがどんなに良い人であっても、
見ず知らずの人とか、ちょっと知っているだけの人に
純粋な好意で教えたりする?
もしかしたら、あなたは
「私は、みんなに教えます!」
という、慈愛に満ちた人かもしれないけれど、
世の中、そんな人は少ないというのは理解してもらえるだろう。
なので、
「情報提供者が、どうやって利益を得ているのか?」
という部分が不明確なものは、絶対に手を出してはいけない。
そして、特に金融商品の場合は、
「出来る限り儲かるところに話を持っていこう」
と思うのが当然だと思うんだよね。
なので、自分のところにうまい話が来た時には
「なんで、私のところにこの話が来たの?」
と疑問を持った方がいいだろう。
特にFXで、ほぼ確実に儲かる方法なんていうのがあったら、
その売買システムを使ってファンドを作った方がいいし、
もし売買システム自体を販売したいのであれば、
大きな企業とか、どこかの国に販売した方が巨額の利益を
得る事が出来る。
それなのに、なぜ、個人をターゲットにして、
個人が購入できる価格で販売するのか?
そこには、絶対
「大企業とか国には売れない理由」
「ファンドにしない理由」
「個人じゃないといけない理由」
があるはず。
その理由が明らかにならない限りは、
手を出すべきではないだろう。
さらに、パンフレットに書いてあるのはたいてい
「最高のシナリオ」
が発生した時のことがデカデカと書かれているので、
逆の
「最悪のシナリオ」
が発生した時のこともチェックしておくべきだろう。
元本を割る商品なんてザラにあるし、
商品によっては、出した金額以上のダメージを負うことだってある。
(っていうか、そんな商品もザラにある)
そして。
「ほぼ確実に儲かる」
「他の商品よりも、利回りなどが優れている」
という商品が存在するのであれば、
金融業界でシノギを削っている投資家たちが
巨額な資金を投入しているはず。
「数秒経過した情報は、もう古い情報」
と言われるほど情報に目ざとい投資家たちの資金が
なぜその金融商品に大量流入していかないのか?
それにも、絶対に理由がある。
あと、当たり前だけれど、確実に儲かる!
って言って紹介してくるのであれば、
その人本人は、相当裕福じゃないとつじつまが合わない。
そのあたりもチェックしておいた方がいいと思いまする。
まぁ、今回相談された商品が
本当に良い商品なのか、それとも胡散臭い商品なのかは、
確実なジャッジは控えさせてもらった。
ただ、相談者さんには
「せめて、いま伝えたようなことが
全部クリアになってからでも、
お金を出すのは遅くないと思うよ」
とお伝えさせてもらった。
さてさて。
金融商品に限らず、私たち人間には
「自分から遠く離れると、素晴らしいものに感じる」
というクセがある。
「FXなら、今のお金の状況を変えられるかもしれない」
「海外預金なら、利率が高いからお得!」
という他にも、
「有名なあの人のそばにいたら、すべての人生が変わるかも!?」
とか、
「あの企業に就職できたら、夢の生活が待っている」
とか、
「この資格が取れたら、他には何もいらない!」
みたいな感じ?
それは昔、マルコポーロが
「海を越えた、遠く離れたところに
黄金の国 ジパングがある」
と伝えたところ、日本が実際以上に憧れられたのと変わらない。
本当にそんな「理想郷」があって、
そこに行くのに何の苦労もなかったら、
全員こぞって、そっちに行っとるわ!(笑)
FXにはリスクがともない、
海外預金の利率が高いのは、そうしないと預金が集まらない理由があり、
有名人だって、近くに行ったらガッカリするような側面もあるし、
どこに就職しても、やっぱり悩みはゼロにならないし、
資格を取るのは、ゴールじゃなくて何かのスタートだ。
なので。
自分から「遠く離れた」ものであればあるほど、
「おっと!
もしかしたら私、実際以上の憧れを持っちゃっている?」
「これは、ジパング症候群にかかってないかな?」
と、慎重になった方がいいのかもしれないよね。お互い。
金融商品にしても、お仕事にしても、
美容とかの商品にしても、人にしても。
ふぅ。
今回は、ほぼ「前置き」で終わってしまう内容だったね。
まぁ、たまには「前菜盛り合わせ」だけで愉しむのもアリ!
ってことで(笑)
ではでは。